1997 Fiscal Year Annual Research Report
遅発性神経細胞死におけるスフィンゴシン1リン酸の変動について
Project/Area Number |
09671411
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川合 謙介 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70260924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤巻 高光 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80251255)
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Keywords | 遅発性神経細胞死 / 脳虚血 / スフィンゴシン1リン酸 / 砂ネズミ |
Research Abstract |
リン脂質のひとつであるsphingosine-1-phosphate(Sph-1-P)が、単にsphingosineの代謝産物ではなく、細胞内の重要な情報伝達物質であり細胞内Ca貯蔵庫より細胞内にCaを放出させる作用を有し脳に豊富に存在するが、本研究は砂ネズミ海馬CA1神経細胞の遅発性神経細胞死に至る過程とSph-1-Pとの関連を明らかにすることにある。本年度は、Sph-1-P測定系の確立と砂ネズミのnormal controlにおける脳の部位別のSph-1-Pの定量を施行した。 (A)HPLCによる海馬、大脳皮質、小脳各sampleのSph-1-Pの定量について normal controlの砂ネズミの海馬、大脳皮質、小脳からice cold chloroform/methanol (1:2) 3mlにてSph-1-Pを抽出し、HPLCにて定量測定した。海馬と大脳皮質からはSph-1-Pは検出されなかったが、小脳からは検出された。この測定法自体の感度に問題があることも予想されたが、部位特異的にSph-1-Pが分布していることも示唆された。 (B)radioimmunoassayによる海馬、大脳皮質、小脳各標本のSph-1-Pの定量について (A)の結果に基づいて同様のsampleにてSph-1-Pをradioimmunoassay法にて定量した。検出感度はHPLCよりも高いとされている測定方法である。海馬、大脳皮質、小脳はそれぞれ5.42±1.90,0.84±0.21,4.29±1.67nmol/mg(mean±SEM,n=5)であった。 以上より、Sph-1-Pは部位によって含有量に差があり、部位特異的な細胞機能を担っていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ide T, Morikawa E , Kirino T: "An immunosuppressant,FK506,protects hippocampal neurons from forebrain ischemia in the Mongolian gerbil" Neuroscience Letters. 204. 157-160 (1996)
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[Publications] Kensuke Kawai, Hitoshi Nakayama, Akira Tamura: "Limited but significant protective effect of hypothermia on ultra-early-type ischemic neuronal injury in the thalamus" Journal of Cerebral Blood Flow and Metabolism. 17. 543-552 (1997)
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[Publications] 川合謙介、桐野高明: "前脳虚血モデルにおける低脳温効果" 集中治療-Intensive & Critical Care Medicine-. 9. 627-634 (1997)