1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671583
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
土肥 直文 奈良県立医科大学, 救急医学教室, 助手 (00254516)
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Keywords | adrenomedullin / sepsis / septic shock |
Research Abstract |
サイトカインなどが中心的な役割を果たすと考えられている敗血症は、sepsis、severe sepsis、septic shockの3群に重症度分類されるが、我々はseptic shock(敗血症性ショック)患者において血漿中AMが著明に上昇し、これが心係数とは正、体血管抵抗係数とは負の相関することから、septic shockに特徴的なhyperdynamic stateにAMが寄与する可能性を指摘してきた。 平成9年度は、敗血症においてAMおよびサイトカインなどのメディエーター(tumor necrosis factor(TNF)-α、interleukin(IL)-6、IL-8、plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)、thrombomodullin(TM))と重症度、血行動態、臓器不全、予後との関係を検討するとともに、患者末梢血より抽出した単核球のAMのmRNAの発現を検討した。対象はsevere sepsis患者10名、septic shock患者30名である。重症度の指標としてAPACHE-IIscore、多臓器不全の指標としてMOFスコアを用いた。血漿中AMは,健常成人(5.2±0.2fmol/ml)に比して,severe sepsis群(48.3±12.1)、septic shock群(193.5±30.1)と有意に上昇し、severe sepsis群とseptic shock群の2群間にも有意差を認めた。septic shock群において血漿中AMは、炎症性サイトカインであるIL-6、IL-8や血管内皮細胞障害のマーカーとされるPAI-1、TMやとは相関を認めず、血管壁細胞において最もAM産生を惹起するとされるTNF-αとのみ相関を認めた。一方血漿中AMは血清クレアチニンと相関を認めなかったため、今回の血漿中AMの上昇は産生亢進によるものと考えられた。in vitroでは血管内皮細胞および血管平滑筋細胞における多量のAM産生亢進が示されているが、今回の検討で患者末梢血単核球のAMのmRNAの発現を認めたことから、敗血症における血漿中AMの上昇に白血球が寄与する可能性が示唆された。昨年度よりさらに症例数を増やし、血漿中AMと血行動態との関係を検討してみたが、心係数、体血管抵抗係数との相関を再確認した。またAPACHE-II scoreおよびMOFスコアとも有意な正の相関を示した。予後に関しては死亡症例の血漿中AMは生存症例のそれらよりも有意に高値を示した。以上より血漿中AMは、septic shockの有用なマーカーとなりうる可能性が示唆された。 同趣旨を1998年日本集中治療学会総会、日本外科学会総会、European society for surgical reseachにて発表予定である。
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