1998 Fiscal Year Annual Research Report
なぜ麻酔や外科侵襲は周術期の宿主防衛機能を弱化するか?
Project/Area Number |
09671587
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
小川 龍 日本医科大学, 医学部, 教授 (20008345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 健 日本医科大学, 医学部, 助手
金 徹 日本医科大学, 医学部, 助手
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Keywords | 外科侵襲 / 宿主防衛機能 / リンパ球 / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究の目的は、麻酔と手術の後に観察される宿主防衛機能の低下機序を、末梢血中のリンパ球数の低下によると考えた。そしてリンパ球数の低下の機作にはアポトーシスが重要な役割を果たすことを証明することであった。 1) 手術後の患者の末梢血リンパ球数とその構成の変化:状態の良い成人で吸入麻酔(イソフルラン、セボフルラン)下で胃切除患者を対象に、術中・術後に採血してリンパ球数と構成(CD4^+、CD8^+)をサイトフローメトリ法で観察した。その結果リンパ球数の減少と(CD4^+/CD8^+)の低下が認められた。 2) リンパ球のアポトシスの証明:手術患者の末梢血を採り、培養後クロマチンを染色して、(分裂/正常)よりアポトーシスの発生を観察した。対照時に比べて術後では(分裂/正常)クロマチン細胞が有意に増加した。 3) リンパ球のアポトーシスの機序:周術期の患者より採取したリンパ球を抗Fas抗体とともに培養したところ、標識された細胞の割合が増加していた。 4) リンパ球アポトーシスとホルモン、サイトカインとの関係:手術患者の末梢血を採り、コルチゾール、ノルエピネフリン、TNF-α、IL-6を定量した。その結果、TNF-αの血中最高濃度と(%分裂クロマチン細胞)の間で相関関係があった。 4) インビトロにおけるサイトカインのアポトーシス誘導:対照健康成人よりリンパ球を採り、培養中にサイトカインを接触させると6時間後に分裂クロマチンを持つリンパ球の割合が増加した。
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