1997 Fiscal Year Annual Research Report
重症熱傷の新しい治療法と考えられる低体温療法が免疫,サイトカインに及ぼす効果
Project/Area Number |
09671590
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
野口 宏 愛知医科大学, 医学部, 教授 (20065569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
印牧 省吾 愛知医科大学, 医学部, 助手 (40204581)
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Keywords | 熱傷 / 侵襲 / 低体温療法 / サイトカイン |
Research Abstract |
(目的)最近サイトカインが熱傷における一連のchemical mediatorの反応情報伝達因子として注目され熱傷の病態の一因として深く関与していることがわかってきた。そこで我々は、動物において、重症熱傷初期に低体温療法を試み、熱傷の侵襲による反応を抑制するか否かをサイトカイン(IL-1β,TNF-α,IL-6,IL-8,IL-10)を測定し検討した。 (結果,考察)以前に我々は,臨床及び動物実験において,重症熱傷初期に低体温治療を試みたところ,輸液による負荷なく,循環動態を安定化させ,酸素代謝も良好に管理できることを報告している。今回,ラットにおいて,重症熱傷初期に低体温療法を試みたところ,常温群に比較し低体温群では炎症性サイトカインのIL-1β,TNF-α,IL-6,IL-8は制御傾向を示した。これは,以前の研究結果と考えると,IL-1β,TNF-αの制御により,酸素代謝が良好になり,循環動態が安定化し,血管透過性が抑制されたとも考えられる。又,文献的に熱傷受傷直後のIL-6,IL-8高値例ではその後の多臓器不全合併例が多いとの報告があり,低体温療法が炎症性サイトカインに続発する多臓器不全を防ぐ可能性も考えられた。今回,低体温治療が何故サイトカインを制御するかの根拠は不明であるが,重症熱傷において低体温療法がサイトカインの産生を制御する機序を明らかにできれば特異的な治療法として期待できる。今後,重症熱傷初期の低体温療法がサイトカインに与える影響について,免疫も含めさらなる検討を加えたい。
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Research Products
(1 results)