1998 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素性肺血管収縮反応の機序解明-新しい観点からの挑戦-
Project/Area Number |
09671591
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
塩川 泰啓 近畿大学, 医学部, 講師 (90235490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 洋史 近畿大学, 医学部, 助手 (40268404)
竹村 光博 近畿大学, 医学部附属病院, 助手 (30278725)
泉 貴文 近畿大学, 医学部, 助教授 (40223044)
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Keywords | 家兎 / 定流量再灌流標本 / 吸入麻酔薬 / カルシウムチャネル開口薬 / BAY K 8644 / カルシウムチャネル遮断薬 / ニフェジピン / 低酸素性肺血管収縮 |
Research Abstract |
揮発性吸入麻酔薬は低酸素性肺血管収縮(以下HPV)反応を抑制し、全身麻酔中の低酸素血症の一因となるが、その抑制機序は不明である.そこでウサギin situモデルを用い,ハロタンのHPV反応抑制作用と電位依存性カルシウムチャネルの関与について検討した. <方法>肺動脈送血,左房脱血,定流量再灌流方式の肺灌流モデルを作製した.HPV反応は吸入酸素濃度を21%から3%に切り替え誘発し、平均肺動脈圧の上昇分(Δmean PA)をHPV反応の大きさの指標とした.実験は以下の6群で行った.実験1;低酸素刺激反復群,実験2;カルシウムチャネル開口薬のBAY K8644 0.05μM前処置群,実験3;カルシウムチャネル遮断薬のニフェジピン10μM前処置群,実験4;ハロタン(0,0.5,1,2、3MAC)吸入群、実験5;BAY K8644前処置,ハロタン吸入群,実験6;ニフェジピン前処置,ハロタン吸入群. <結果および考察>実験1;低酸素刺激を反復して加えてもほぼ一定のHPV反応が得られた.このことから本モデルにおいては,反復や時間経過によるHPV反応への影響はないと考えられた.実験2,3;BAY K8644はHPV反応を40%増強し、ニフェジピンは70%抑制した.このことから,HPV反応の発現機序にカルシウムチャネルが介在していることが判明した.実験4;ハロタンはHPV反応を0.5MACから濃度依存性に抑制した.実験5,6;BAY K8644処置において、ハロタンのHPV反応抑制作用が拮抗された.またニフェジピン処置において、高濃度ハロタン吸入によりHPV反応が抑制された.これらのことからハロタンのHPV反応抑制機序にはカルシウムチャネルが強く関与することが明確となったが,それ以外の経路も存在することが示唆された.
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