1998 Fiscal Year Annual Research Report
咽頭癌に対する分子生物学的アプローチによるサイクリンDlと予後との関連
Project/Area Number |
09671759
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
吉田 知之 東京医科大学, 医学部, 助教授 (10201857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸岡 秀裕 東京医科大学, 医学部, 助手 (40246301)
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Keywords | CyclinDl / 遺伝子診断 / 頭頸部癌 / 咽頭癌 / P53 / RT-PCR |
Research Abstract |
Cyclin D1はG1-S期の進行に必要とされる細胞周期調節因子である。また、cyclin DlはcdkやPCNAなどの細胞周期をつかさどる蛋白と結合し、この増幅が不死化のキーポイントであると考えた。Cyclin D1mRNAおよびcdk4mRNAの増幅を未治療の生検材料を用いて検索するため、鋭敏なin situRT-PCR法を使用した。CyclinD1蛋白の過剰発現、PCNA蛋白の過剰発現をみるためにモノクローナル抗体を使用して免疫組織学的手法も追加した。 Cyclin D1 mRNAの増幅は40%に、cdk4 mRNAの増幅は25%に、cyclin D1蛋白の過剰発現は50%にPCNA蛋白の過剰発現は48%にみられた。この発現と予後をretrospectiveに評価し、細胞組織学的悪性度および癌転移の物理的防御機構の相関を調べた。この結果と年齢,病期分類、組織分化度、リンパ節転移に相関はなかったが、Cyclin D1 mRNAとcdk4 mRNAの過剰増幅には有意の相関がみられた.これは、両者は細胞周期の同時期に増幅されるということを示唆した。PCNAの発現とcyclin Dl mRNA、cdk4 mRNAの増幅、cyclin D1蛋白の過剰発現の間にそれぞれ有意の相関があった.この結果から、cyclin D1やcdk4が細胞周期を調節する重要な働きがあることを示唆された。またHuman cDNAライブラリーを再発時に作成したものは過剰発現がみられたことから、細胞内の染色体DNAがより損傷を受けたときにp53が増加し、それを受けてp21量が増加する。これに対応してp21が細胞周期のGl期からS期に必要なCyclin/Cdkに結合してその活性を阻害し、DNAに損傷をうけた細胞がS期へ移行を阻止するcheck pointが破綻した結果と考えた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 吉田知之、他: "頭頸部癌におけるcyclinDl/cdk4のmRNA及び蛋白に関する検討" 耳鼻咽喉科展望. 42(3). 771 (1999)
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[Publications] Tomoyuki Yoshida et al: "Relationship between immunohistochemical examination and nasal and paranasal malignant lymphoma" First World Congress on Head and Neck Oncology. 1237-1242 (1998)