2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671970
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
寺中 敏夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (60104460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
好野 則夫 東京理科大学, 工学部, 教授 (50084380)
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Keywords | プラーク付着防止 / 表面改質 / シランカップリング剤 / ポリフルオロアルキルシラン / 表面自由エネルギー / 汚染防止 |
Research Abstract |
1.ウシエナメル質試料に10F2S-3I,10F2S-3Mおよびドデシルトリメトキシシラン(10H2S-3M)を用い表面改質した改質群,正リン酸でエッチングした後,各シランで表面改質した前処理群,表面改質を施さない非改質群の表面自由エネルギーを算出したところ,10F2S-3Iおよび10F2S-3Mで改質した改質群および前処理群は,非改質群および10H2S-3M群に比較して有意に低く,エナメル質表面を不活性な状態に変化させることができた. 2.粉末ハイドロキシアパタイト(HAP)および粉末ウシエナメル(BEP)を各シランで処理した改質群と,非改質群のホスビチン吸着量をゲルパーミエーションクロマトグラフイーで定量したところ,10F2S-3Iおよび10F2S-3Mで改質した群は非改質群および10H2S-3M群に比較して著明に吸着量が少なく,口腔内においても改質効果が十分発現する可能性が示された. 3.改質エナメル質を60分酸に浸漬した場合のカルシウム溶出量は10F2S-3I,10F2S-3M改質群および前処理群が,非改質群および10H2S-3M群に比較して有意に少なく,耐酸性を付与することが可能であった. 4.臨床応用を想定し,10F2S-3Iのみを用いて実験を行ったin vitroでのS.mutans付着実験では,10F2S-3I改質群および前処理群の総付着S.mutans量は非改質群に比較して有意に少なく,in vivoでのプラーク付着試験においても10F2S-3I改質群および前処理群は,非改質群に比較してプラーク付着量が有意に少なかった. 以上より,ポリフルオロアルキルシランによるエナメル質表面改質はプラーク付着抑制に有効であり,口腔の健康維持に寄与する可能性が強く示唆された.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 黒坂のぶこ: "ポリフルオロアルキル基を有するイソシアナトカップリング剤で表面改質したコンポジットレジンのプラーク付着抑制効果"日本歯科保存学雑誌. 43(5). 1083-1089 (2000)
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[Publications] Kurosaka N: "Poly (fluoro) triisocyanatosilane surface modification reduces Streptococcus mutans adherence"Journal of Dental Research. 79 spec.iss. 465 (2000)
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[Publications] 黒坂のぶこ: "フッ化炭素鎖を含む表面改質剤の歯科への応用(IX)-タンパクの吸着に関する基礎的実験-."歯科保存学雑誌. 43巻春季特別号. 74 (2000)
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[Publications] 黒坂のぶこ: "フッ化炭素鎖を含む表面改質剤の歯科への応用(X)-エナメルへの応用-"歯科保存学雑誌. 43巻秋季特別号. 85 (2000)
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[Publications] 黒坂のぶこ: "ポリフルオロアルキルシランによるエナメル質表面の改質効果"神奈川歯学. 35巻抄録集. 32 (2000)