1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用合金の電気化学的特性値におよぼす唾液蛋白の影響と耐食性評価
Project/Area Number |
09672008
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Research Institution | TOKYO DENTAL COLLEGE |
Principal Investigator |
小田 豊 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00085838)
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Keywords | 耐食性 / 電気化学 / タンパク質 / 歯科用合金 / 腐食 |
Research Abstract |
歯科用合金の電気化学的特性値に及ぼす唾液蛋白の影響を明らかにするために、貴金属合金として、TypeIV金合金、金銀パラジウム合金を選択し、クロム含有合金として、Ni-Cr合金(硬質)、Co-Cr合金、更にCPチタンを用い、鏡面研磨、耐水研磨、サンドブラスト研磨を行ったものを試料とし、腐食試験溶液としては0.9%NaCl溶液、albumin,α-amylase,添加溶液を用いて測定を行った。測定は電気化学腐食測定装置(Potentiostat,Model273&Corrosion software M352C:PARC、既設)を用い、アノード分極、自然電極電位および分極抵抗を測定し各金属材料と蛋白種との組み合わせによる特性を調べた。研磨による影響では何れの合金もサンドプラスト研磨より鏡面研磨で耐食性が向上する傾向にあり、非貴金属合金で影響が大きかった。albumin,α-amylase,の添加量は唾液成分の報告を参考に各々0.1mg/ml、として実験を行ったが何れの合金においても蛋白質成分の影響による顕著な差異は認められなかった。歯科用合金の電気化学的測定と測定溶液中の蛋白の存在の影響については、Williams,R.L.(1988),Speck,K.M.(1980)は血清蛋白やcysteineの存在が耐食性を低下させると報告し、Bessing,C.(1987)は唾液蛋白の存在が耐食性向上に作用すると報告している。また、Kohavi,D.(1995),Steinberg,D(1995)らの研究によって、歯科用合金やチタンの表面には唾液蛋白中のalbuminやfibrinogenが選択的に吸着するがその吸着特性は合金によって異なることが報告されている。そこで、チタンの耐食性に影響の大きい0.2%NaF溶液中でalbumin添加の有無の影響を調べた結果、無添加サンプルと比較し、分極抵抗は増大し、腐食電位は貴方向へ上昇、動電位曲線では低電位での電流密度が小さくなる傾向にあり、蛋白質成分の影響が明らかに認められた。
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Research Products
(1 results)