1997 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧自然発症ラットの循環動態に及ぼすβ遮断薬とエピネフリンの相互作用
Project/Area Number |
09672047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金 容善 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20252695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 均 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (30218250)
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Keywords | 高血圧自然発症ラット / β遮断薬 / エピネフリン / 相互作用 |
Research Abstract |
本研究に先立って,非選択性のβ遮断薬であるピンドロールと,エピネフリンとの相互作用を調べた.有志の若年健康成人に対して,ピンドロール5mgを服用させ,1時間後に8万倍エピネフリン添加2%リドカイン3.6mlを上顎頬側歯肉に浸潤麻酔を行ったところ,有意な血圧の上昇と心拍数の減少を認め,被験者8人の中の1人は,40mmHg以上の収縮期血圧の上昇と,20回/分以上の心拍数の減少をきたし,頭痛を訴えた.ここで得られた結果は,若年の健康成人に認められたものであり,実際の高血圧症患者では,さらに著しい変化が起こることが予想された.そこで,この循環動態の変動のメカニズムを解明することを目的に,ヒトの本態性高血圧症のモデルとして最も広く利用されている高血圧自然発症ラット(SHR)およびその対照モデルである正常血圧ラット(WKY)を実験モデルとして,β遮断薬とリドカインに添加されたエピネフリンとの相互作用が,その循環動態におよぼす影響について検討を行った. その結果,非選択性のβ遮断薬とエピネフリンとを併用した場合に,SHRだけ著しい循環動態の変化(DBPの上昇,肺水腫の発生)がみられた.その発生機序として,エピネフリンのβ_2作用が遮断され,α_1作用が相対的に優位となり,末梢血管抵抗の増大が起こったことが示唆された.また,著しい循環動態の変化がSHRにだけみられたのは,相対的に優位となったα_1作用に対する感受性が,WKYと比較して,SHRの方が高いことに起因することが示唆された.なお,この有害な循環動態の変動のメカニズムを更に詳細に解明するため,血清生化学分析を行い,比較検討中である.
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Research Products
(2 results)