1998 Fiscal Year Annual Research Report
Streptococcus milleriの生体付着機構解析 -とくにlamininを介した付着機構について-
Project/Area Number |
09672112
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
北田 勝浩 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (90195264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 博夫 鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (40213079)
佐藤 節子 鹿児島大学, 歯学部附属病院, 講師 (70145514)
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Keywords | Streptococcus milleri / laminin / enolase / 細胞外基質 / 付着 / 定着 / 遺伝子クローニング / PCR法 |
Research Abstract |
昨年度の研究により,Streptococcus milleri群を構成するS.anginosus,S.constrllatus,S.intermediusの3菌種のうち,S.intermediussがlamininに特に強く結合することが明らかにされた。本年度はこれに基づいて,同菌種の標準菌株S.intermedius ATCC27335からlaminin結合性タンパク質の単離を試みた。菌表層物質から各種のクロマトグラフィー,最終的にはSDS-PAGEによってlaminin結合性を有する分子量約50kDのタンパク質が単離された。そのN末端アミノ酸の配列を決定したところ,Ser-Ile-Ile-Phe-Asp-Val-Tyr-Ala-Arg-Glu-Val-であることが判明した。相同性検索の結果,Staphylococcus aureusのenolaseのN末端(Pro-Ile-Ile-Thr-Asp-Val-Tyr-Ala-Arg-Glu-Val-)との高い相同性が判明し,追跡してきた物質はS.intermediusのenolaseであることが示唆された。Enolaseは解糖系酵素の一つで細胞質内に存在するものと考えられてきたが,ほぼ同時期に,A群レンサ球菌において,本酵素が菌体表層に存在し,plasminに結合することによって感染過程に関与することが報告された(V.Pancholi and V.A.Fischetti,J.Biol.Chem.1998)。そこでS.intermeiusのenolaseのタンパク質としての性状を明らかにする目的で,同遺伝子のクローニングを行うことにした。S.aureusのenolaseの遺伝子配列に基づいて,1460bpの同遺伝子の5′側約半分と3′側約半分を少しオーバーラップする形で別々にPCR法によって増幅し,全長のDNA配列を決定した。この配列に基づく推定アミノ酸配列とS.aureusのenolaseとの間には約80%の相同性が認められた。すなわちS.intermeiusのenolase遺伝子の1次構造が初めて明らかにされたと考えられる。今後はこの遺伝子の発現系を確立した上で,タンパク質の諸性状についての詳細な解析が必要であると考えられる。
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