1998 Fiscal Year Annual Research Report
唇裂口蓋裂患者の顎裂部骨移植に対する歯科矯正治療の関連性について-現状分析並びに治療システムの検討-
Project/Area Number |
09672116
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
大塚 純正 昭和大学, 歯学部, 助教授 (80129816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大隅 昇 文部省統計数理研究所, 教授
佐藤 兼重 昭和大学, 医学部, 助教授 (50138442)
鈴木 規子 昭和大学, 歯学部, 助教授 (10112731)
平川 崇 昭和大学, 歯学部, 助手 (20266175)
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Keywords | 骨移植 / 口腔内レントゲン写真 / インプラント / 骨牙移植 / 矯正治療 |
Research Abstract |
本年度は、研究初年度(平成9年度)に引き続いて骨移植術の新規追加、ならびに既手術例についての術後観察、評価を行った。評価は主として、模型と口腔内レントゲン写真を用いた。また、レントゲン写真は、スキャナーによるコンピュータへの取り込みを行い、新生骨の状態を評価した。 結果として、患者による差があるものの、大別すると本学形成外科と口腔外科とで施術されたものに差が見られ、口腔外科による症例の方が移植骨の生着率が高かった。その原因としては、症例の有する顎裂部の大きさや漏孔の有無等に加え、移植時年齢、手術法の違いが挙げられ,術者による違いはあるものの、共通して顎裂部の処理の問題が影響していることが推察された。つまり、形成外科では、従来より一次手術時において顎裂部の閉鎖に口唇粘膜弁を用いているため、移植時にはこの粘膜弁を剥離し、新たに健全な骨粘膜弁にて同部を閉鎖するといった難しさがあり、結果的に、このことが骨移植の不満足な主要因であることが考えられた。その他にも、術後管理の中で、移植部の感染の問題も挙げられた。しかしながら一方では、満足の行くものもあり、移植時期について、これまでの犬歯萌出前よりも、切歯の誘導を考慮した早期の時期での検討も行うことにした。 矯正学的観点から有利なものは、骨移植後に歯の誘導や移動、さらにはインプラントや歯の自家移植の道が開かれたことである。このように移植術の成否がさまざまな要因によって左右されているが、事前に明らかに不良な結果が予測されるものに付いては、必ずしも骨移植をすべきでないなど、成否判断に対する鑑別診断の確立の必要性が示唆された。
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