1998 Fiscal Year Annual Research Report
胆汁酸生合成における炭素-炭素切断反応に関する研究
Project/Area Number |
09672155
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy |
Principal Investigator |
森崎 益雄 共立薬科大学, 教授 (30016159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 善徳 東京工業大学, 理学部, 教授 (50173472)
小林 典子 共立薬科大学, 助手 (90245449)
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Keywords | コール酸 / 胆汁酸 / コレステロール / CoAエステル / コール酸生合成 / 24-オキソ-THCA |
Research Abstract |
コール酸、ケノデオキシコール酸に代表される胆汁酸は肝においてコレステロールより生合成されるが側鎖部分の変換は脂肪酸のβ-酸化類似のメカニズムで進行する。コール酸生合成の最終ステップは24-オキソ-3α,7α,12α-トリヒドロキシ-5β-コレスタン-26-カルボン酸(24-オキソ-THCA)のCoAエステル(1)のチオリシス反応であると考えられているが確証はない。昨年度は化合物(1)とその類縁体であるエタンチオールエステル(2)、N-アセチルシステアミンエステル(3)およびエチルエステル(4)を化学的に合成し、ラット肝ミトコンドリアあるいはヒト肝ガン由来の培養細胞HepG2とインキュベートして生成したコール酸およびその誘導体の同定、定量を行った。その結果、このチオリシス反応の基質にはにはβ-ケトエステル構造が必要であること、CoAエステル(1)がコール酸生合成の直接の前駆体であることが示唆された。今年度は(1)以前のコール酸生合成前駆体であると考えられているTHCA(5)、24-エン-THCA(6)および24-ヒドロキシ-THCA(7)のCOAエステルが(1)に変換されるか否かについて検討した。化学的に合成した化合物(5〜7)およびそれらのCoAエステルをラット肝ミトコンドリアとインキュベートし、けん化、シリカゲルTLC精製を経て得られた(1)の加水分解一脱炭酸生成物であるエチルケトン(8)をトリメチルシリルエーテルに誘導体化しGC/MSで同定した。その結果化合物(6)、 (7)およびそれらのCoAエステル体はいずれも(1)へ変換されることが確認された。昨年度の結果も考えあわせると24-オキソ-THCAのCoAエステル(1)はコール酸生合成の最終前駆体であることはほぼ確実である。
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