1998 Fiscal Year Annual Research Report
酸素を用いるジアステレオ画選択的炭素-炭素結合形成反応の開発
Project/Area Number |
09672182
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Research Institution | The Institute of physical and Chemical Research (RIKEN) |
Principal Investigator |
嶋恒 正之 理化学研究所, 有機合成化学研究室, 先任研究員 (10087611)
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Keywords | stereoselective reaction / carbon-carbon bond formation / immobilized polymer / dendrimer model / functionalized polymer / tetraol / 機能性高分子 / テトラオール |
Research Abstract |
光学的に不活性なRS体の化合物もしくは不斉炭素をもたない化合物から、炭素-炭素結合を形成させて光学的に活性な化合物を得る方法の開発は、古くから有機化学者の大きな夢であり、有機化学に対する偉大なる挑戦であった。ところが、最も重要とされるこの炭素-炭素結合形成反応を有機合成にまで拡張した研究は、まだ端緒に着いたばかりで、特に日本での研究は非常に少ない。我々はここ10数年来この反応に着手し、フルクトース-1,6-ジフォスフェート(FDP)アルドラーゼ存在下、ジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)と2位に電子吸引基が付いたアルデヒドを縮合させると炭素-炭素結合部位の2個の炭素のみではなく、アルデヒドの2位の炭素の立体まで、都合3個の炭素の立体が規制されることを見い出した。2位に塩素官能基の付いたアルデヒドを用いて条件検討をした結果、70%の収率で対応するアルドールが得られることが判明した。ところがこの反応には再現性が得られなかった。そこで最近、物性の面で非常に注目を浴びているデンドリマーに酵素を固定することにした。今回はそのモデルであるデンドリマーコアとその外側に機能性基である酵素を導入した新しい機能性高分子の合成を目指した。まずニトロメタンからテトラカルボン酸を経由するデンドリマーコアであるテトラオールへの誘導を試み、4行程、67%の収率で得る方法を開発した。これにN-末端をBocで保護したアミノ酸の一種であるBocアラニンとの反応を種々検討し、48%と低収率であるが目的の機能性デンドリマーモデルであるカップリング体が得られることを見い出した。
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