1998 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素およびオピオイド受容体の血液脳関門透過性調節における役割
Project/Area Number |
09672335
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
原 修一 東京医科大学, 医学部, 講師 (70208651)
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Keywords | パラコート / 一酸化窒素 / Nω-Nitro-L-arginine / 7-Nitroindazole / ナロキソン / バンプレッシン / Wet dog shakes |
Research Abstract |
昨年度の研究において、wet dog shake(WDS)はパラコート(PQ)を海馬に投与した場合に最も強く誘発され、このWDSは、PQを全身的に投与した場合と同様にnitric oxide synthase(NOS)阻害薬であるNω-nitro-L-arginine(L-NA)によって強く抑制された。そこでラット海馬におけるnitric oxide(NO)生成量の変動をその酸化物であるNO_2とNO_3を指標としてマイクロダイアリシス法を用いて検討したところ、次のような結果を得た。 (1) ラット海馬NO生成量についてfree movingの条件下で測定したところ個体差があるもののNO_2及びNO_3量が変動し、安定した状態を得ることが出来なかった。これに対し、ウレタン麻酔下(1.2g/kg,i.p.)では、プローブ挿入後、約3時間で安定した状態を得ることが出来たため、以後の測定はこの条件下で行った。 (2) PQ(70mg/kg,s.c.)投与後のラット海馬NO_3量は、・PQ投与60分後から増加し始め、90分目以降から対照群よりも有意な増加となった。NO_2量は、PQ投与100分後のみ有意な増加が認められた。 (3) L-NA(30mg/kg,i.p.)を前処置した場合、PQによるNO_2及びNO_3量の上昇はいずれも消失した。また、L-NA前処置により、これらの量は対照群よりも減少した。 (4) L-NA(30mg/kg,i.p.)とL-arginine(500mg/kg,i,p.)を併用した場合、NO_2量は対照群あるいはPQ単独群と同程度まで回復したがNO_3量については部分的な回復のみで(2)で観察された上昇は認められなかった。 以上知見より、PQはNO生成量を増加させるが、これはWDSの出現が観察されなくなった後に起こる現象であることから、NOが直接WDS発現に関与する可能性は低いと考えられる。
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