1997 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素およびオピオイド受容体の血液脳関門透過性調節における役割
Project/Area Number |
09672335
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
原 修一 東京医科大学, 医学部, 講師 (70208651)
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Keywords | 一酸化窒素 / オピオイド受容体 / バソプレッシン受容体 / パラコート |
Research Abstract |
パラコート(PQ)誘発wet-dog shake(WDS)は血液脳関門透過性調節の変化によることが示唆されている。このWDSにおける一酸化窒素(NO)、オピオイド受容体、N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体およびバソプレッシン受容体(V1)の関与についてSD系雄性ラットを用いて検討し、次の結果を得た。1,非特異的NO合成酵素(NOS)阻害薬であるNω-nitro-L-arginine(L-NA;10-30mg/kg,i.p.)は、PQ(70mg/kg,s.c.)誘発WDSを抑制したが、L-NAの異性体でNOS阻害作用の弱いD-LAには抑制作用は認められなかった。また、neuronal NOSに選択性の高いNOS阻害薬である7-nitroindazole(7-NI;50mg/kg,i.p.)もWDSを抑制した。L-NAおよび7-NIのWDS抑制作用は、NOの前駆体であるL-arginine(L-Arg)投与により全く影響を受けなかったが、オピオイド受容体拮抗薬であるnaloxoneにより消失した。2,PQ誘発WDSは、NMDA受容体遮断薬であるMK-801により抑制されず、むしろ増強される傾向であった。3,PQは側脳室内(i.c.v)投与では100nmolまでWDSを誘発しなかったが、50nmolをdosal hippocampus(DH)、あるいはventral hippocampus(VH)に直接投与すると強いWDS誘発作用を示した。caudate putamenあるいはamygdalaへの投与ではWDS誘発作用は弱かった。PQをDHに投与した場合に誘発されるWDSは、L-NA(30mg/kg,i.p.)により強く抑制された。4,V1拮抗薬OPC-21268(50および100mg/kg,i.p.)は、PQ(70mg/kg,s.c.)誘発WDSを抑制したが、その抑制作用は弱く、i.c.v.投与(10nmol)でも抑制作用は同程度であった。PQ(50nmol)のDH内投与誘発WDSは同部位へのOPC-21268(1nmol)前処置によって強く抑制された。以上の知見から、PQ誘発WDSにはhippocampusが重要な役割を演じており、オピオイド受容体およびV1の関与が示唆された。また、NOの関与についてはさらに検討が必要であるものと考えられる。
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