1999 Fiscal Year Annual Research Report
抹茶特有の風味が生じるためには、なぜ碾茶を熟成保存する必要があるのか
Project/Area Number |
09680031
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
島田 和子 山口県立大学, 生活科学部, 教授 (70145936)
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Keywords | 抹茶 / 緑茶 / ビタミンC / クロロフィル / クロロフィラーゼ / 碾茶 / カテキン類 / ペクチン |
Research Abstract |
碾茶の熟成保存による茶葉の品質劣化程度と、茶葉採取時期の異なる碾茶の熟成による風味成分の相違について検討した。 (1)茶葉中のビタミンC、クロロフィル及びクロロフィラーゼ活性の安定性 碾茶を5℃、6ヶ月間保存しても、抹茶中の総ビタミンC及びアスコルビン酸含量の残存率は80%以上で高かった。抹茶の表面色、クロロフィル及びクロロフィル誘導体含量も変化がなく安定であることか認められた。クロロフィラーゼ活性は低下しなかったが、クロロフィルが安定であったことから、水分含量の少ない碾茶ではクロロフィラーゼは作用しないと推察した。以上のことから、抹茶の風味生成のための碾茶保存条件では、茶葉の品質は劣化しないことが確認された。 (2)茶葉採取時期の比較 茶葉採取時期の異なる(初期、中期、末期)碾茶の熟成保存による抹茶溶出液中の各種成分量(カテキン類、カフェイン、ペクチン、サポニン)及び抹茶総泡容積を測定した。カテキン類・カフェインの溶出量は、茶葉採取時期及びそれらの碾茶保存により大きな差はなく、また、抹茶にまろやかさを与える要因の一つである可溶性ペクチン量は風味が良好な初期の抹茶で多くなかったことから、カテキン類、カフェイン、ペクチンは茶葉採取時期による抹茶の風味の違いに大きく寄与していないことが認められた。抹茶泡立ち性に寄与するサポニン量は初期の抹茶において保存中増加したが、総泡容積の増加程度は各茶葉採取時期間で差がなかった。
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Research Products
(1 results)