1997 Fiscal Year Annual Research Report
徳島県における高齢者孤独および孤独死へのサポートネットワークに関する実践的研究
Project/Area Number |
09680063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shikoku University Junior College |
Principal Investigator |
原田 寛子 四国大学短期大学部, その他部局等, 教授 (20035463)
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Keywords | 老人孤独死 / 老人自殺 / ソーシャルサポート・ネットワーク / 癒し / 僻地活性化 |
Research Abstract |
徳島県の高齢化は、日本の21世紀を先取りしたかたちで進んでいるので、そこに於ける高齢化への対策対応は、日本のそれに直結する。そこで、"老人孤独死ゼロの実現"を老人にとっての快適環境と仮定し(本研究の独創性)、1977〜1997年迄の21年間に、それがゼロの地域があるか否かを調べた。徳島県警察本部の検視資料の時系列分析により、本県には孤独死が21年間ゼロの町村が存在した。国勢調査資料も用い、自殺死率、孤独死率(人/万人/年)を算定した。死亡状況を次の項目別(地域・死亡場所・性・年齢・死因・死亡の手段・状況・動機)で分析し、老人を取り巻く地域の人間関係の濃さが、高齢独居を支え、心を癒し、人間の極限状態に耐える気力を支える原動力であることを理解した。実地調査は、独居老人と本学教員・学生が寝食を共にして老人の愚痴に耳を傾けた。次第に、お互いの心が見えて来た。特に僻地での独居は、物質的には恵まれないが、心豊かな人間の生状(いきざま)を垣間見ることが出来た。 元気な独居老人に共通の生態として、1.いい顔をしている。2.周囲に心を開いた人間の絆がある。3.何か信仰を持っている。この3点が、主体性をもって今を生きる、老人存在文化-孤独死ゼロの実現に、必須の条件と考えられた。 21世紀を目前に、地域活性化の新しい風は、老人が心癒やされる"ふれあい"を創造できるか否かに負うている。老は、積極的に若者と関わって、日本が苦しかった時代の体験を声高に語る。具体的には、地域にリタイアメント・コミュニティの活動拠点をもって、あるいは情報発信手段を整えて、過去・現代の生き証人の声を次代を継ぐ若者に伝える。未来については共に考えてゆく。孫世代との交流を復権する。 来年度は、80歳以上高齢者のストレス解消・癒し・尊厳についてもヒューマン・サポート・ネットワークのシステム化を考えてゆく。
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Research Products
(1 results)