1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680078
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
長澤 光雄 秋田大学, 教育文化学部, 助教授 (30125728)
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Keywords | 体育 / 学習指導 / 競争 / スポーツ / 学習内容 |
Research Abstract |
体育科の学習内容としてスポーツの占める地位がますます高まっている。そのスポーツの特性として遊戯性や身体活動性とともに、競争性があげられる。本研究において、体育科の学習内容としてスポーツを扱う場合に競争を様々に工夫している実態を体育教育関連文献から蒐集し検討を加えた。その中には、競争の持つ負の側面を見逃した工夫のあることにも言及しながら、勝敗の未確定性の増大をねらいとしたり、序列や勝敗を不明確にする競争性の希釈をねらいとした工夫等がなされていることを明らかにした。そのことを踏まえ、スポーツをより深く理解し、体育の学習指導を充実させるためには、達成型の競争場面の提供や、安易なハンディ・キャップの付与をさけ、動機付けだけを目的にした手段的競争を排除する必要を指摘した。また、小学校5,6年生に対して、体育科の授業においてボールゲームを学習した後、スポーツの競争に関する認識を質問紙調査した。調査結果を因子分析した結果、スポーツの競争に関する認識から8因子が抽出された。その中で、もっとも大きな因子は達成動機に関連する因子であった。これは一般的競争の特性と一致している。排他性が一般的競争の負の側面として指摘されているが、調査対象とした児童の体育の学習後のスポーツの競争に対する認識では、排他性を否定していた。この排他性の否定が第2因子であった。スポーツの競争に対する児童の認識から抽出されたその他の因子は、試合は楽しい、試合ではフェアプレーを必要とする、競争の結果には偶然性がある、等であった。 さらにまた、競争の学習指導に関連した文献を提示し、陸上競技ではグループ分け、団体競技化、ハンディ・キャップの付与、ランク分けの競争の工夫例があることを示した。それから得られた知見を、走り幅跳びと走り高跳びの跳躍両種目の学習指導に生かす具体的方法を論述した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 長澤光雄: "体育の学習指導における競争の扱いに関する一考察" 体育科教育学研究. 15・2. 1-8 (1998)
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[Publications] 長澤光雄: "ボールゲーム学習後の競争に対する児童の認識に関する研究" 秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要. 21 印刷中. (1999)
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[Publications] 関岡康雄: "陸上競技を科学する" 道和書院, (1999)