1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680084
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中込 四郎 筑波大学, 体育科学系, 助教授 (40113675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 和則 筑波大学, 体育科学系, 助教授 (70149904)
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Keywords | スポーツ選手 / 競技引退 / 再適応 / 自我同一性再体制化 / スポーツ文化 / 韓国 / 国家代表 / 事例 |
Research Abstract |
スポーツ選手の競技引退について,スポーツ心理学ならびにスポーツ社会学の両面から引き続き今年度も調査研究を行った.以下,その主な内容を記す. (1) 「競技引退」に関する先行研究の概観を心理・社会学領域の両面から行った.前者からは,引退後の適応問題に寄与する心理的要因の同定とこれへの有効な対処方略の検討が課題とされた.そして,後者からは,社会的な制度及び文化などを考慮した研究の必要性が課題として提示された. (2) わが国の状況と大きく異にする韓国において,元国家代表クラスの競技経験を持つ2名の者にインタビュー調査を行った.面接資料は,「国家的支援」「企業支援」「家族支援」の3つの立場から分析検討を加えた.同時に,韓国国家代表クラスの引退後の進路ならびに年金制度に関する資料収集を行った. (3) 東京オリンピック代表経験を持つ2名の元競技者に面接調査を行った.両者は,50歳代半ばにあり,再就職といった中年期危機を共に経験した者たちであった.これらの2事例においては,「社会化予期」と「時間的展望」といった2つの側面から,引退後の再適応過程との関連が分析された. (4) 3つのオリンピック出場経験を持つある代表選手の引退前から引退後の心理相談資料(現在も継続中であるが,これまでに百数十セッション行ってきている)の分析検討をしつつある.ここでは,夢や描画を手がかりとしたイメージレベル(無意識)からの適応過程が検討されることになる. 次年度は,これまでの調査結果の補強を行いながら(例えば,韓国選手や女性競技者のの事例を加え,また,記述統計的な資料の収集を行う等),資料のより詳細な分析,そしてまとめの作業を計画している.
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