1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小堀 かおる 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (10209190)
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Keywords | 骨格筋収縮特性 / 可動域制限 / 静止張力 / 萎縮 / 筋の長さ-張力関係 |
Research Abstract |
筋収縮において骨格筋の成長・肥大・タイプ変換に影響を及ぼすとされる「機械的刺激」のうち、近年では特に筋の「伸張」が重要視されているが、一方で、筋に対する刺激の強さとしては「収縮(トレーニング)」による方が大きいのが普通である。本年度は機械的刺激因子として、筋の「伸張による静止張力発生」と「収縮による活動張力発生」の因子を分離して筋に対する影響を検討する生体モデルを作成し、両因子の筋に対する影響を比較検討した。 マウス下腿ヒラメ筋を対象とし、完全伸展時の足関節角度を180゚とした場合、下腿筋が、1.伸張域(足関節角度30゚〜120゚以下)でのみ活動する[伸張域運動群],または2.短縮域(足関節角度120゚〜180°)でのみ活動する[短緬域運動群]、ような2種類の可動域制限ギブスを片脚に施した。同一個体の無処置の対脚を対照とし、自由活動(歩行・走行・跳躍)による運動を行わせた。 5週間のギブス期間後、腫脹のない個体についてのみ両脚よりヒラメ筋を摘出した。筋の両端を装置および微小荷重トランスデューサに接続し、95%02-5%CO2を通気したRinger液中に固定した。筋長をマイクロマニュピレータで変化させ、筋長-等尺性単収縮張力関係を調べた。収縮特性測定後、筋湿重量を測定した。 いずれのギブス筋もコントロールに比べ筋重量は低下したが、その低下は伸張域運動群でより小さかった。対脚のコントロール筋重量には差がなく、対側のギブス処置による補償性肥大は認められなかった。静止張力は、短縮域運動群で立ち上がりが速くなったが、伸張域運動群ではコントロールと同様であった。至適長および最大単収縮張力で標準化した筋長-張力関係は両ギブス群とも変化しなかった。 以上より、ギブスによる可動域制限は筋の萎縮と弾性低下を引き起こすが筋の収縮特性を質的には変化させないことがわかった。
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Research Products
(2 results)