1998 Fiscal Year Annual Research Report
東北地方における地域伝統芸能の表現技法の伝承と再開発
Project/Area Number |
09680094
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
本田 郁子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (90165605)
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Keywords | 東北地方 / 地域伝統芸能 / 伝統の再開発 / 身体表現技法 / 感性情報 / 表現戦略 / 舞踊表現 |
Research Abstract |
本研究は、東北地方の地域伝統芸能を対象に、現代化・国際化にむけた地域伝統芸能の再開発の方向性を検討することを目的とし、8月から11月まで仙台駅で開催された『みちのくエキコン(第15回〜第20回)』を事例に、芸能再開発のための表現戦略・演出・構成上の方向性と、身体表現技法開発・強化のための具体的方策について検討した。その結果、以下のあらたな知見がえられた。 1. 感性情報を手がかりとした演出および再開発の有効性 感性情報、すなわち生得性に着目した効率・確率のたかい快感誘起を指標とした表現戦略に基づく演出および再開発は、東北地方の地域伝統芸能を対象とした再開発にきわめてたかい有効性をしめした。 2. 伝統的舞踊フレーズのモジュール化とその再構築による再開発の有効性 舞踊表現の再開発については、独自性のたかい伝統的舞踊フレーズを手をくわえずにモジュール化し、その時間的・空間的構成には民族舞踊・現代舞踊などジャンルを越えて効果的な手法をとりいれて再構築するという開発法の有効性が、秋田県二ツ井町の『切石ささら踊り』再開発の事例において示唆された。 3. コミュニティ型芸能のもつ身体技法・表現戦略の有功活用と表現の可能性 新しい地域芸能の創造にあたっては、だれにでも習得可能な身体表現技能を基盤におき、その巧みなコンビネーションプレーによってたかい表現水準を獲得するという、コミュニティ型芸能がもつ伝統的表現戦略を活用した開発の有効性と、さらなる表現強化・創造への可能性が示唆された。
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