1997 Fiscal Year Annual Research Report
長距離走トレーニングが生体内活性酸素バランスに及ぼす影響
Project/Area Number |
09680130
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
伊藤 孝 日本体育大学, 衛生学公衆衛生学教室(体育学部), 教授 (70060788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 直人 日本体育大学, 衛生学公衆衛生学教室, 講師
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Keywords | 長距離選手 / 免疫機能 / 好中球 / 生体負担 |
Research Abstract |
日々の運動の実施は、行動体力の向上のみならず、感染症等に対する防衛機能の亢進についても近年報告されるようになった。その反面、オリンピック等の競技力向上を目的とした選手の易感染性も報告されており、必ずしも一致した見解は得られていない。 本研究では、健康管理等の観点から、長距離選手を対象とし(1)日常生活時における生体負担、栄養、運動量について調査を行った。加えて(2)生体への負担が高まる強化合宿後の免疫機能の回復について、それぞれ検討を加えた。 対象は長距離選手20名である。(1)の調査は7月〜11月に実施し、栄養摂取量、自覚症状及び運動程度(強度及び距離)について記録した。その結果、1日の栄養摂取量は平均2659.8±441.3kcal/日、蛋白質104.1±18.4g/日、糖質372.5±40.8g/日といずれも高値を示していた。一方、運動程度や自覚症状をみると、いずれも8月が最も高く、それ以降は低下し、一定のレベルにあった。したがって、日常生活時に比べ強化合宿等が行われていた8月において生体への負担は高くなることが明らかとなった。そこで、先に述べた対象者の内13名を用い、8月の強化合宿直後の生体負担や免疫機能について調査を行った。採血は24時間以上安静をおいた早朝空腹時に静脈より行った。合宿直後の生化学データでは筋損傷の指標とされるCPKが494.8±196.7IU/lと正常域(57〜197)を全員が大きく上回っていた。白血球数は4469.2±934.9/μlと正常域(3900〜9800)にあったものの全員が低い傾向を示していた。一方、白血球像では、好中球の占める割合が67.2±4.9%であったものの、特に幼弱な好中球が3.9±1.3%と正常域(0〜6)の中でも高い傾向にあった。これらの結果から、強化合宿時においては好中球を主とした免疫能の低下が予想される。今後は合宿後の回復過程を中心に各個人の体力レベルともあわせて好中球機能について検討を加える。
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