1999 Fiscal Year Annual Research Report
長距離走トレーニングが生体内活性酸素バランスに及ぼす影響
Project/Area Number |
09680130
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
伊藤 孝 日本体育大学, 体育学部, 教授 (70060788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴川 一宏 日本体育大学, 体育学部, 助手 (10307994)
木村 直人 日本体育大学, 体育学部, 助教授 (20225048)
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Keywords | 女子選手 / 活性酸素 / 非特異免疫能 / 好中球 / 化学発光 |
Research Abstract |
昨年度、男子長距離選手を対象に調査を行ったところ、夏期合宿における強化トレーニングは好中球の活性酸素産生能を亢進させる一方で、抗酸化系酵素(SOD)活性も亢進することから総合的な非特異免疫能が低下することなどが明らかになった。しかし女子選手においての調査は報告事例が少ないことから、本年度は男女の性差を検討することを目的として女子長距離選手を対象として合宿後の回復過程における非特異免疫能および生体内の活性酸素バランスについての調査を行った。/1999年7月下旬から8月下旬にかけて行われた夏期合宿の前後において、大学陸上競技部に所属する女子駅伝選手5名を対象として、合宿前、合宿終了直後、3日後および20日後に、形態の測定、採血を行った。好中球の活性酸素種産生能は、ルミノール及びルシゲニン依存性化学発光法により測定した。得られた化学発光の結果からPeak HeightおよびPeak Timeを算出し、好中球活性の指標として用いた。/ルミノール依存性化学発光におけるPHの変化は、合宿前と比較して合宿後に産生量が約1/3に低下したが、有意ではなかった。しかし合宿3日後には合宿前値に比較して約3倍の上昇を示した(p<0.05)。我々が昨年行った男子選手における調査では、好中球活性は合宿直後に上昇しており、エキセントリックな運動による筋損傷が関与している可能性が示唆された。本研究においては、合宿3日後に好中球活性の有意な上昇が認められたが、筋損傷との関係を検討するために、血清中のCK値を筋損傷の指標として筋損傷と好中球活性との関連を検討した。ところが、ルミノール依存性化学発光におけるPHの変化は、CK値の変化とは全く逆の変化を示しており、本研究における好中球活性の上昇は、筋損傷との関連が薄いことが示唆された。しかしながら、ルシゲニン依存性化学発光においても合宿後に活性酸素種産生能が低下しており、ルミノール依存性化学発光と併せて、好中球活性は低下していることが示された。我々が以前に男子選手を対象として行った調査では、合宿後に好中球活性が上昇することが示されたが、女子選手においてはその反対の結果が認められた。すなわち、女子選手においては月経異常などの生理的機能の管理と併せて、防衛体力面からみた健康管理のアプローチが必要であると考えられた。
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