1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680155
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
神谷 浩夫 金沢大学, 文学部, 助教授 (40192546)
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Keywords | 都市問題 / 医療施設 / 精神科 / 立地紛争 / 迷惑施設 |
Research Abstract |
本研究では、近年における医療サービス供給の変貌を都市における土地利用の用途に対する規制と関連させながら、精神科診療所を事例として考察した。精神科診療所を考察する視点は、1)医療政策の転換の事例として、2)迷惑施設の事例として、3)現代のストレス社会に必須の装置として、という3点である。これらの観点から、日本の6大都市(東京都区部、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市)における精神科神経科診療所の立地を分析した。その結果以下の点が明らかとなった。 1) 1980年ごろから、急速に第精神科神経科診療所の開業が大都市で増えている。これは、これまで患者が通院ではなく入院していた精神病院のずさんな医療や経営に対する社会的な批判が高まったことや通院診療報酬制度の変更に対応した動きである。 2) 新たに開業した精神科神経科診療所は大都市に立地する傾向が強くみられ、しかもターミナル駅周辺に集積が著しい。これは、迷惑施設としての側面を精神科神経科診療所が強く持っているためである。 3) 1985年以降、ターミナル立地の傾向がさらに強まる一方、診療所の開設も依然として続いている。駅前の立地は、匿名性を重視し、広い地域から患者を集めるのに都合がよいことと、立地の際のトラブルを避けるために様々な用途の土地利用が混在している繁華街が好都合なためである。これは、1)の開放医療・地域医療への動きとは矛盾する動きでもある。
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