1997 Fiscal Year Annual Research Report
現代社会における「性・家族・家庭生活」の総合的学習に関する実践的検討
Project/Area Number |
09680263
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
山田 綾 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (50174701)
|
Keywords | 総合学習 / セクシュアリティ / ジェンダー / 近代家族 / 家庭科教育 / 学び / 参加 |
Research Abstract |
今日、近代に構築された「性」や「家族・家庭生活」のあり方が問われている。一方、登校拒否や高校中退の増加、青年期の自立の困難さが指摘され、中等教育のあり方も問われている。生徒が自分の生き方と社会を探求する学びの必要性が指摘され、現代における「性・家族・家庭生活」に関する学習の内容や方法の検討が必要である。 1997年度は、今日までの日本の「性・家族・家庭生活」に関する実践の収集と検討を中心に行った。第一に、自主編成の家庭科における性や家族に関する学習を検討した。日本教職員組合の教育研究集会の家庭科教育分科会(1957年〜1997年)で報告された実践レポートの中から、家族・性に関するものを検討した。「家族」に関する実践レポートは1970年代に増加し、近代家族の特徴の一つである性役割分業の問い直しが盛んに行われた。しかし、「理想像」や「標準タイプ」として近代家族のあり方が伝達されてきた。1990年代になり、家族の多様性を取り上げたり、ディベートなどの方法を用いる授業が試みられているが、近代家族を相対化する視点と方法は未だ希薄である。一方、「性」に関する実践は、主に家庭科の保育領域で実践され、保育の実践報告が1970年代に増加し「性」を扱う実践もみられるようになった。年代により性の語られ方は変化しているが、近代的な性を相対化する視点と方法の解明は今後の課題である。 このような状況を踏まえ、第二に、1990年代に先駆的に取り組まれた高等学校総合学習の実践の中で、家族や性をテーマとする実践を検討した。これらの実践では、高校生の現実から生徒とともに性を問い直すことが試みられている。 近代に構築された家族や性のあり方を相対化し、問い直すことができる学びを、生徒が文化に参加する過程としてどのように創るかが、今後の課題である。
|