2000 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの日常的社会認知の発達に関する時系列縦断的研究
Project/Area Number |
09680277
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福田 正弘 長崎大学, 教育学部, 助教授 (60149929)
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Keywords | 社会認識 / 社会認知 / 発達 / 社会科 / 経済認識 / 子ども |
Research Abstract |
本研究は、個々の子どもに焦点を当て、彼らが形成している日常的社会認知の変容過程を、4年間の追跡調査によって明らかにすることを目的としている。 研究4年目の本年度は、1)第4次調査の計画と実施、2)子どもの反応状況の比較と発達系列の抽出、3)子どもの反応推移の分析と発達経路の解明、4)研究の総括と報告書の作成、を行った。それらの概要と得られた成果は以下の通りである。 1)第4次調査は、4年間継続して調査を行う学年(97年時で第2学年と第3学年)の児童に限定して調査を行った。調査内容は第3次調査と同一のものである。 2)上記2つの学年の児童の中で、4年間のデータが揃った児童のみのデータを分析した。学年全体の反応状況の変化は、2つのグループ及び97年度調査の児童の間で類似していた。その中で、児童は、原初的な経済ルールと日常的な生活ルールを発達させ、問題状況が単純な場合は何れかを適用して判断するが、そうでない場合はルール適用が恣意的となり、発達的傾向も曖昧となる、という発達系列が見出された。 3)児童の価格判断におけるこの曖昧な発達的傾向は、児童の判断が学年によって変動することによって説明される。児童はルール適用が容易な問題場面ではスムーズなルール適用を行い、安定的な発達経路を辿るが、両者が拮抗する場合、子どもの判断は不安定となり、発達的に「行きつ戻りつ」の状態を示す。特に、子どもが心情移入する問題場面では、この傾向が顕著である。 4)以上から、子どもの日常的社会認知の発達は極めて複雑な過程を辿るものであることが分かった。しかし、子どもが所有するルールの中身は何か、彼らのルール適用がどこまで自省的なものか、など新たな課題も生じてきた。
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Research Products
(1 results)