1998 Fiscal Year Annual Research Report
海外の日本語の新しい言語秩序-日系ブラジル人における待遇表現の新生-
Project/Area Number |
09680301
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
山下 暁美 常磐大学, 国際学部, 助教授 (10245029)
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Keywords | 日本語 / 日系人 / 敬語 / 待遇表現 / 言語調査 / 日系ブラジル人 / 日系アメリカ人 |
Research Abstract |
平成10年度(科学研究費補助第2年目)は国内在住の日系人と、その比較対象資料としての国内日本人(ブラジル移住者の出身県、西日本中心)、海外日系人(ブラジル・アメリカ)の調査を終了し、入力分析作業を行った。その結果国内在住の日系人(ブラジル)の属性、日本語における「お」「ご」の付け方や丁寧度の異なった動詞の使用に特徴が見られた。 1) 名詞、形容詞、動詞の「お」 「ご」の使用に関して、国内在住のブラジル日系人は西日本在住国内日本人とブラジル在住日系人との間の中間的な使用率を示した。 2) 丁寧度の違う動詞の使い分けに関して、ブラジル在住日系人より、国内在住ブラジル日系人のほうが丁寧度が全般的に低い。 3) 敬語に関する質問項目の中でブラジル在住日系人と国内在住ブラジル日系人とで、大きく結果が異なったのは謝罪に関する項目で、国内在住日系人は非常に丁寧度の高い表現を使用している。日本語について謝罪の表現に学習が観察された。 4) 国内在住ブラジル日系人とブラジル在住日系人とでは「目上の人に対する言葉づかいに気をつける」「敬語は必要かどうか」という点について意識の変化は見られない。 5) 国内在住ブラジル日系人はブラジル在住日系人より教育年数(学歴)が約1年程度短い。丁寧度が低い原因の一つと考えられる。 6) 国内在住ブラジル日系人は86%の人がポルトガル語を8%の人が日本語を母語としている。 7) 日本語学習年数は国内在住ブラジル日系人はブラジル在住日系人より約3年短い。労働できる年代が来日していることとも関係があるだろう。 8) 国内在住ブラジル日系人とブラジル在住日系人の日本語使用時間は変わらない。
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