1997 Fiscal Year Annual Research Report
核融合炉第一壁候補鉄鋼材料JLF1鋼の強度特性に関する研究
Project/Area Number |
09680487
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
幸野 豊 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (70150282)
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Keywords | JLF1鋼 / フェライト / マルテンサイト鋼 / 低放射化鉄鋼材料 / 延性脆性遷移温度 / 微小試験片 / 中性子照射 / シャルピー試験 / 引張り試験 |
Research Abstract |
実証炉以降での実用を目指し、研究代表者を含む東京大学のグループによって開発された核融合炉炉心構造材料の候補材JLF-1鋼について、中性子重照射下を含む種々の環境下における強度特性評価が、主として微小試験片技術を用いて広範に実施された。微小シャルピー衝撃試験片(1.5mmサイズ、1/3サイズ)、微小引張り試験片(SSJサイズ、Wサイズ)の作成技術は、本科学研究費補助金によって開発・発展させることが可能となってものであり、研究の効率的な推進にとって大きく寄与した。 JLF-1鋼のようなフェライト/マルテンサイト鋼の照射環境での使用にあたっては、照射による延性脆性遷移温度の上昇(照射脆化)が大きな問題となるが、本研究の結果から、微小シャルピー試験片を用いた最大約60dpa照射の条件下においても、JLF-1鋼の場合、最高遷移温度は約20dpaにおいて255K程度であることが示され、依然として室温以下に留まるものであることが明確になった。また、遷移温度の試験片サイズ依存性は極めて弱く、遷移温度評価の標準サイズ試験への外挿が直接可能であることが示された。このことは、耐ボイドスウェリング性などの優れた照射下組織安定性とともに、JLF-1鋼が照射下での強度特性の面においても極めて安定であり、核融合炉炉心構造材料として十分機能し得ることを示したものといえる。引張り試験については、実施計画の遅れもあり、本研究の第2年度(平成10年度)に主要部分の実施を予定しているが、現在までに得られている結果からは、約20dpaにおいて照射硬化の極大を有する傾向が明らかになりつつあり、衝撃試験での遷移温度の変化は主として照射硬化に起因するとの予測が得られつつある。
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