1998 Fiscal Year Annual Research Report
貧栄養湖の役割と生物多様性および物質循環の場に関する研究
Project/Area Number |
09680500
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
日野 修次 山形大学, 理学部, 助教授 (10272056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 泰哲 山形大学, 理学部, 教授 (60007177)
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Keywords | 貧栄養湖 / 生物多様性 / 物質循環 / 植物プランクトン / ピコプランクトン / 細菌類 / 一次生産 |
Research Abstract |
昨年の阿寒パンケ湖に続き,今年は酸性型貧栄養湖である猪苗代湖について研究を実施した。本湖沼は,クロロフィル-aであらわされた植物プランクトン量は少ないものの,表層より中層(今回は10m)に多い傾向が認められた。またサイズとしては20-2μm程度の小型サイズのものが多いことが明らかとなった。また、一般に有機物の分解者として重要な役割を果たす細菌群集について見ると,猪苗代湖では著しく少なく,一般的な湖沼の約10%程度であること,他の貧栄養湖と比較しても1%程度と極めて低いレベルであることも示された。 湖内での有機物生産の基礎となる一次生産量は,他の貧栄養型湖沼と比較しても高いということも,極めて低いというわけでもなかった。しかし,猪苗代湖は無機炭酸量が極めて低く (0.1-0.3mg/l程度),湖内にある無機炭酸を利用して測定するような従来の方法では測定できないことが十分考えられた。今回は,安定同位体法をもちいたが,無機炭酸を添加するような測定法では測定可能であるものの,実際の湖内生産は全炭酸量に制限されている可能性があった。もし,そうであるとするならば、今回の測定結果は猪苗代湖の潜在的な一次生産量を測定したことになり,実際の湖内での有機物生産(一次生産)は,さらに低く,湖内の浮遊性有機物は外因性(少なくとも湖周辺部)のものである可能性が高いと考えられた。また,それらの有機物は湖内の細菌群数も著しく低いことから細菌以外の生物群集によって分解されていることも予想された。 今後は,無機炭素に見られる制限因子の推定,細菌に変わる分解者,湖内有機物の起源,およびその分解過程などについて調査や研究が必要である。
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Research Products
(1 results)