1998 Fiscal Year Annual Research Report
糖蛋白質アスパラギン型糖鎖の持つ分子シャペロン様蛋白質高次構造形成促進機能の研究
Project/Area Number |
09680599
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山口 春樹 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (40081583)
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Keywords | 糖蛋白質 / アスパラギン型グリカン / ポリペプチド折れたたみ / 分子シャペロン |
Research Abstract |
1. 糖蛋白質の高マンノース型アスパラギン(Asn)結合糖鎖と同様に、複合型Asn糖鎖にも、還元変性蛋白質の折れたたみ高次構造形成促進能が見出されたことから、複合型Asn糖鎖の構造と促進能との関係を調べた。ヒトエリトロポエチンのAsn糖鎖を種々グリコシダーゼによって構造修飾したものについて、高次構造形成能を、固有蛍光スペクトル、蛍光プローブANS結合性やPAGEによって調べた結果、糖鎖の機能には、ガラクトースを含む糖鎖が重要であることがわかった。 2. Asn糖質の蛋白質高次構造形成機能と糖鎖構造ならびに蛋白質の特性との関係を調べた。高マンノース型及び複合型二本鎖、三本鎖の遊離Asn糖質について、膵臓リボヌクレアーゼA、α-ラクトアルブミンや卵白リゾチームの高次構造形成促進能を活性回復、ゲル濾過HPLC、固有蛍光スペクトルやANS結合性などにより比較したところ、高マンノース型よりも複合型が、また複合型二本鎖よりも三本鎖の方が促進能が強く、またこの促進性は上記三種の蛋白質について類似していた。この結果は、このAsn糖質の機能が糖鎖構造特異的であり、且つ蛋白質一般的に発揮されるものであることを強く示唆した。 3. 分子内結合Asn糖鎖と遊離状態のAsn糖質の機能の差を明らかにするために、リボヌクレアーゼB及び1mM Man_5GlcNAc_2Asn存在下でリボヌクレアーゼAについて、還元変性状態からの高次構造再生を行わせ、再生中間体のトリプシン消化物のHPLCペプチドマッピングで見出された新生ペプチドのアミノ酸配列分析からジスルフィド形成を比較した。その結果、両者共に再生の初期段階から正しいジスルフィドを形成するが、ジスルフィドの架橋位置に差が異なり、両者間に作用の差異があることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Naoya Kimura: "Promotion of Polypeptide Folding by Interactions with Asn-G1ycans" Journal of Biochemistry. 124,No.4. 857-862 (1998)
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[Publications] 山口春樹: "糖蛋白質のアスパラギン結合糖鎖は蛋白質の折れたたみ高次構造形成を促進する" 生化学. 71巻、3号. (1999)