1998 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム-ミリストイルスイッチ機構の原子レベルでの解明
Project/Area Number |
09680644
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 俊之 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (10217052)
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Keywords | リカバリン / ニューロカルシン / カルシウム-ミリストイルスイッチ / EFハンド / 化学シフト / 溶液構造 |
Research Abstract |
リカバリンのN末端は脂肪酸(主にミリストイル酸)で修飾されており、この疎水性部分を利用してカルシウム依存的に細胞膜と相互作用する(カルシウム-ミリストイルスチッチ)。本研究では、リカバリンファミリーに属する蛋白質の詳細なNMR構造解析を行い、このスイッチ機構を原子レベルで理解することを目的とする。今年度は、脳に存在するニューロカルシンというリカバリンホモログに焦点を絞って研究を進めた。 効率良い発現・大量産生系を用いて安定同位体ラベルされたニューロカルシンを調製し、カルシウム非存在下で一連の異種核三次元NMRスペクトルを測定した。現在、約95%の主鎖及び約70%の側鎖の帰属が終了している。帰属された主鎖の^1H、^<13>C、^<15>Nの化学シフト、及びこの帰属に基づき解析された三次元NOESYスペクトルデータから、ニューロカルシンの二次構造は11のαヘリックスと4本の短いβストランドから構成されていること、更にこの4本のベータストランドが2組の逆平行型βシートを形成していることが明らかになった。この二次構造の構成は、既に我々によって解析されたリバカリンと非常に良く似通っている。現在、三次元NOESYスペクトルの詳細な解析を進め、構造計算に必要な距離情報を集積している。さらに、ミリストイル基の存在位置を確認する目的で、ミリストイル基のみが^<13>Cでラベルされた特殊なタンパク質の調製を検討している。今後これらの距離情報を基に構造計算を行い、詳細な三次元構造を決定する予定である。
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