1997 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌核様体タンパク質H-NSによる新規な遺伝子発現調節機構の解析
Project/Area Number |
09680671
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上口 智治 名古屋大学, 農学部, 助手 (20232738)
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Keywords | 核様体 / H-NS / DNA結合タンパク質 / LeuO / サイレンシング / シグマ因子 / ストレス応答 |
Research Abstract |
1.遺伝子発現のサイレンシング機構の解明 1)bglオペロンの転写抑制に関与する因子を検索する目的で、この遺伝子発現が抑制されなくなったトランスポゾン挿入変異株を、系統的に取得した。その結果、既知の変異2種(hns変異およびbglJ変異)に加えて新たに1種類の変異を同定できた。挿入部位の塩基配列決定によりこの変異はLysRファミリーに属するDNA結合蛋白質LeuOをコードする遺伝子のプロモーター部位に起きたことが判明した。遺伝学的解析の結果、この変異はLeuO蛋白質の過剰発現を引き起こし、結果としてbglオペロンの転写を誘導したものであることがわかった。目的とした転写抑制因子ではなかったものの、bglオペロンの転写の活性化因子を同定することに成功したといえる。 2)上述のLeuO過剰発現株(bglサイレンシングは解除されている)の表現型を抑圧する多コピーサプレッサーの分離に取り組み、DNA結合蛋白質をコードしうるクローンを複数得た。現在これらがサイレンシングに関与しているかどうかを解析している。 II.シグマ因子の翻訳調節機構の解析 1)σSの負の制御因子である核様体蛋白質H-NSの構造と機能を明らかにする計画の一環として、H-NSのダイマー形成ドメインを明らかにした。またH-NSのDNA結合ドメイン欠失変異が示すdominant-negative効果を基にしてダイマー形成不全変異を分離し、ダイマー形成がH-NSの機能に必須であることを証明した。 2)σSの浸透圧応答機構を解析する途上、外膜ポリンが欠損した株にさらにビオチン生合成の欠損変異が加わるとσSの脱抑制が起こることを見出した。これは水溶性ビタミンであるビオチンを培地から取り込めず、合成もできなくなったことによる現象ではないかと考えられる。ビオチンは脂質合成に必須のビタミンであることから、細胞膜の物理的強度の変動がσSの発現制御の一つのシグナルであることを示唆し、現在解析中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tabata T., Kashiwagi S., Mori. H., Ueguchi C & Mizuno T.: "Cloning of a cDNA encoding a putative metal-transporting P-type ATPase from Arabidopsis thaliana." Biochim. Biophys. Acta. 1326. 1-6 (1997)
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[Publications] Ueguchi C., Seto C., Suzuki T. & Mizuno T.: "Clarification of the dimerization domain and its functional significance for the Escherichia coli nucleoid protein H-NS." J.Mol.Biol.274. 145-151 (1997)
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[Publications] Ueguchi C., Ohta T., Seto C., Suzuki T. & Mizuno T.: "The leuO gene-product has a latent ability to relieve the bgl silencing in Escherichia coli" J.Bacteriol.180. 190-193 (1998)
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[Publications] Inamura A., Hanaki N., Uweda H Nakamura, Suzuki, Ueguchi & Mizuno: "Occurrence of a group of response regulators implicated in the His-Asp phosphotransfer signaling in Arabidopsis." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. (in press). (1998)
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[Publications] Mizuro T & Ueguchi C: "Molecular Chaperone and Protein-Folding Sequences(Ed.Gething, M-J.)" University Press, (1997)