1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680740
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Research Institution | Department of Anatomy, Fukui Medical University |
Principal Investigator |
玉巻 伸章 福井医科大学, 医学部, 助教授 (20155253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 一浩 福井医科大学, 医学部, 助手 (60273025)
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Keywords | Thymin-dimer / UV-Thymin dimer 標識法 |
Research Abstract |
神経細胞の移動は、その神経領域の形成や、神経回路の形成においてどの様な意味を持つのか、なぜ顆粒細胞は、プルキンエ細胞や僧帽細胞と同じ場所から生じないのだろうか。この様な疑問は、脳の形成メカニズムを考える上でひとつの重要な課題で、十分な解析が必要である。本研究の目的は、少数で方向も一定しない細胞移動であっても、任意の場所で効果的に検出する方法を開発することにあった。開発する細胞移動の検出法の基本原理は、光ファイバーで紫外光を局所に照射し、細胞核内のDNAにThymin-dimerを形成させ、anti-Thymin-dimerモノクロナール抗体を用いて、免疫組織化学的に検出するとういうものである。DNA内にThymin-dimerを形成させることで、移動に障害が生じる細胞もあるであろうが、既に合成されたmRNAや蛋白で移動を続ける細胞も存在するはずで、細胞移動に何ら影響を受けないですむ細胞もいると考えた。 胎生後期から大脳基底核原器(ganglionic eminence)に由来する細胞が、嗅球に向けて上衣下層を盛んに移動し、嗅球の顆粒細胞を供給する系に、UV-Thymine dimer標識法を応用し、新たな所見を得た。嗅球尾側部に刺入した光ファイバーによりUV-照射を行い、移動細胞を観察した。吻側に移動していた細胞は、1日の内に、一部は顆粒細胞層に到達し、移動中は扁平であった核が、球形になっていた。吻側に向かう細胞の移動速度は、最も速いもので70μm/hrと見積もられた。加えていずれの観察例でも、嗅球から大脳に向けて逆走する細胞が、同時に観察された。尾側に向かう細胞の移動速度は、最も速いものでも約20μm/hrであった。尾側に移動していた細胞は、上衣下層進んで大脳基底核原器付近まで散在する様子が観察された。この方法を、DNA内のThymin-dimerを除去出来なくなった、色素性乾皮症の症状を示すミュータントマウスに用いれば、核内の標識は永く残るので、時間を変えて観察すれば、細胞が生じるところから最終目的地までの細胞移動を追跡できた。
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Research Products
(1 results)