1997 Fiscal Year Annual Research Report
伝達物質放出過程における細胞質蛋白質シナ-フィンの役割
Project/Area Number |
09680760
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
阿部 輝雄 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (50010103)
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Keywords | シナ-フィン / 伝達物質放出 / シンタキシン / シナプス |
Research Abstract |
シナ-フィン(synaphin)は私達が発見した細胞質蛋白質で、伝達物質放出機構の中心的役割をはたしている融合複合体(fusion complex)に結合している。この蛋白質の機能を明らかにするため、今年度は以下の実験を行った。 (1)脳内分布と進化上の保存度 シナ-フィンの2種のisoform(synaphin 1,2)に対する特異的な抗体を用いて、免疫組織学的にラット脳内での分布を検討した。この結果、両蛋白質の分布が大脳皮質等において有意に異なることがわかった。また、シビレイエイ(Narke japonica)電気器官のシナ-フィンに対するcDAN2種をクローニングし、それらはラットsynaphin 1,2と90%以上の類似性を持ち、進化上きわめてよく保存されていた。 (2)機能の追究 シナ-フィンが伝達物質放出に必要であるか否かを明らかにするため、イカの巨大シナプスを用いて実験を行った。まず、イカのシナ-フィンを抗体を用いて精製し、そのcDNAをクローニングした。この蛋白質はラットとは34-36%の類似性を示した。イカ蛋白質分子の中央部付近の部分配列ペプチドを合成し、イカ巨大シナプスのシナプス前末端内に注入した。この結果、伝達物質放出は迅速に、可逆的に阻害された。結合実験の結果、このペプチドはシナ-フィンとシンタキシンの結合を阻害するが、他のSNAP受容体(SNAREs)間の結合には影響しなかった。以上の知見より、シナ-フィンとシンタキシンの結合が伝達物質放出に必須であることが証明された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Ishizuka: "Molecular cloning of synaphins/complexins,cytosolic proteins involved in transmitter release,in the electric organ" Neuroscience Letters. 232. 107-110 (1997)
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[Publications] H.Tokumaru: "Synaphin/complexin is a critical protein in neurotransmitter release" Journal of general physiology. 110. 26a- (1997)
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[Publications] T.Abe: "The domain of synaphin/complexin reguired for SNARE binding" Journal of general physiology. 110. 27a- (1997)