1997 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱収縮機構における興奮性脊髄反射経路の証明およびその機能的役割の解明
Project/Area Number |
09680821
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 光美 東京医科大学, 医学部, 助教授 (10170698)
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Keywords | 排尿 / 膀胱 / 骨盤神経 / 脊髄 |
Research Abstract |
1.実験は全て麻酔ネコの両側下腹神経切断標本を用いて行った。2.骨盤神経膀胱枝中枢端を求心性に電気刺激し、もう1本の同側膀胱枝中枢端から反射電位を記録した。なお骨盤神経節を経由する神経節反射の影響を除去するため、2本の骨盤神経膀胱枝間の神経連絡を全て切断した。膀胱低圧時、短潜時(20-40ms)の反射が誘発された。排尿収縮出現閾値以上の高圧時では、短潜時の反射電位の後に長潜時(約100ms)の反射が出現した。上部頚髄の切断により長潜時の反射は消失したが、短潜時の反射は誘発されることが示された。短潜時脊髄性反射経路については、さらに仙髄副交感神経節前ニューロンの細胞外および細胞内記録により確認する予定である。3.上部腰髄切断標本において、小さな膀胱収縮-弛緩変動を示した。この変動は圧依存性に増大し、膀胱内圧が100-150mmH20で最大値(80-100mmH20)を示した。腰髄、仙髄および尾髄の摘出により膀胱収縮-弛緩変動は大幅に減少する(10-30mmH20)ことから、膀胱収縮-弛緩変動の大部分は膀胱-膀胱脊髄反射により生じていることが示唆された。4.橋排尿中枢からの脊髄内下行路を検索した。電気刺激により膀胱収縮が誘発される部位は腰髄レベルでは脊髄背外側部に限局していた。この部位の両側性破壊により大振幅の排尿リズムが消失したことから、橋排尿中枢からの下行路は脊髄背外側部を通ることが示された。上部腰髄切断後、切断直下の脊髄背外側部の電気刺激で誘発される膀胱収縮圧は膀胱内圧依存性に増大し、膀胱内圧が100-150mmH20で最大値を示した。このことは、橋排尿中枢の賦活によるとされる排尿収縮の生成には、膀胱からの脊髄性入力による促通が必要であることを示唆する。
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