1998 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱収縮機構における興奮性脊髄反射経路の証明およびその機能的役割の解明
Project/Area Number |
09680821
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 光美 東京医科大学, 医学部, 助教授 (10170698)
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Keywords | 膀胱 / 排尿 / 骨盤神経 / 脊髄 |
Research Abstract |
麻酔ネコの両側下腹神経切断標本を用い、2M-NaClおよびファーストグリーンFCF色素を充填したガラス管微小電極で仙髄副交感神経節前ニューロンの細胞外記録を行った。節前ニューロンは、仙髄2-3番の中間外側核にあり、前根の逆行性刺激で誘発され、軸策伝導速度が4-12ml/sであるもの、かつ膀胱収縮時に発火活動が増大するものを同定の基準とした。骨盤神経膀胱枝の電気刺激により節前ニューロンに潜時14-26msの短潜時反射と潜時62-106msの長潜時反射が誘発された。一部のニューロンで短潜時の発火が出現しないものがあったが、同じニューロンで細胞内記録をしたところ、潜時13-18msのEPSPが誘発された。骨盤神経刺激により橋排尿中枢に誘発される電場電位は30-40ms、排尿中枢刺激により骨盤神経に誘発される活動電位の潜時は40-70msであるとされることから、短潜時の反射は橋排尿中枢経由ではなく脊髄性に誘発されることが示され、前年度の結果・(骨盤神経節間を切断した標本で、骨盤神経膀胱枝の電気刺激により他の骨盤神経膀胱枝に短潜時(20-40ms)の反射が誘発された)が裏付けられた。増大した発火数は長潜時反射の方が大きかった。短潜時反射の直後から長潜時反射が出現されるまで、発火頻度は自発活動レベルよりも減少していたが、細胞内記録の結果、短潜時のEPSPの後ろに持続性の長い過分極が見られ、これによりこの期間の発火が減少するものと考えられた。短潜時反射は膀胱内圧が低い時(0mnH2O)に比べて排尿収縮時に著明に出現し、脊髄反射は長潜時反射と同様に排尿収縮依存性であることが明らかにされた。
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