1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト頭髪モデル動物の開発とそれを用いた実験システムの確立
Project/Area Number |
09680835
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
上山 義人 東海大学, 医学部, 助教授 (30072408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 奈緒子 実験動物中央研究所, 研究員
窪田 泰夫 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (10126047)
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Keywords | ヒト頭髪 / 単離頭髪 / 移植 / 凍結保存 / 男性ステロイド |
Research Abstract |
これまで、ヒト頭髪の免疫不全動物への移植実験は頭皮材料入手時に限られるという欠点があった。そこで、いつでも必要な時に実験出来るシステムを確立するために単離ヒト頭髪毛包の凍結保存について検討した。まず、同一ドナーから採取した単離毛包を直ちにマウスに移植する群と、一度凍結保存してから移植する群に分けた。凍結保存群は、単離した毛包をDMSO添加細胞凍結用液に浸漬した後、凍結用チューブに入れてドライアイスにて凍結させ、液状窒素中に1週間以上保存した後、移植の直前に37℃の温湯にて急速に融解し、麻酔下でBALB/cA-nu,scidマウスの背部皮下に挿入した。皮膚被覆材で固定保護し、経時的に毛幹の伸長を観察した。5例の健常頭皮から得られた毛包(凍結保存群92本、未凍結群58本)について検討したところ、生着率は凍結保存の有無に影響を受けず、凍結群で27.2%、未凍結群で27.9%であった。また、生着した毛包の組織像にも差を認めなかった。このことから、単離毛包を凍結保存しておけば、計画的にヒト頭髪のin vivo実験が出来るようになると考えられる。そこで、現在、単離頭髪を部位、年令、性などにより整理し、凍結保存することによって、"ヒト頭髪銀行"の計画を進めている。 この実験系を用いてヒト頭髪の長期間in vivo実験が可能となったため、ヒト頭髪毛包に対する男性ステロイドの作用を検討した。毛幹の伸長が確認された例にエナント酸テストステロン5mgを皮下投与し(対照群には融解油のみ投与)、経時的に両群の移植毛包の変化を観察したところ、投与群5本の内2本において毛幹が脱落し、毛包にも退行変性が認められた。しかし、変化の認められなかった毛包も認められたため、頭髪採取部位の差あるいは検体間の差を反映している可能性もある。今後、症例を増やして再現性を確認する必要がある。
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