1997 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における医療職の専門職化と養成システム-医・歯・薬学系学校に関するフィールド調査を通して-
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09710173
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Research Institution | National Institution for Academic Degrees and University Evaluation |
Principal Investigator |
橋本 鉱市 学位授与機構, 助教授 (40260509)
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Keywords | 医療職 / 専門職 / 医学博士 |
Research Abstract |
今年度の本研究の研究実績としては、(1)基本的な史資料の収集と統計的作業に関わる部分、(2)その史資料の解読・統計結果の分析と文献講読、に主に取り組んだ。 すなわち、まず、医療三職に関する様々な基礎的な資料からデータベースを作成し、その上でマクロな変動を分析した。具体的には『文部省年報』『内務省衛生局年報』などの各種の史資料を収集・複写したのち、明治期から昭和戦前期までの医・歯・薬学系の教育機関の変遷、卒業者数の増減、および試験合格者数の推移、などを表計算ソフトに入力してデータベースを構築した。また医学系諸学校の教官個人の学歴・履歴・在任年数などを各大学史などから収集し、データベースを作成するとともに、『医学博士録』(昭和16年度)をソーシャル・インデックスとして利用して、大正半ば以降に激増する「医学博士」取得者を社会学的に分析し、論文として発表した(「わが国における医学博士の社会学的分析」『学位研究』第7号、1998)。またこれらと並行して、医療職をとりまく諸集団の資料(『中外医事新報』と『医海時報』の2誌、医・歯・薬学系団体の雑誌類など)を収集・複写し解読を行なうと同時に、医療職に関する理論的な文献の収集と購読を進めたが、これらの作業では、医療三職の養成システムと適正な「養成数」に関する政策、それらに対する職業集団・政府・諸政党など様々な政治的アクターのイッシューに焦点を絞り、考察を進めてきた。
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