1997 Fiscal Year Annual Research Report
官僚制の誘因構造と政策活動-合理的選択制度論にもとづくキャリアパス調査-
Project/Area Number |
09720071
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
建林 正彦 関西大学, 法学部, 専任講師 (30288790)
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Keywords | 官僚制 / キャリアパス / 通産省 / 新制度論 / 合理的選択論 |
Research Abstract |
本年度は、通産省、農林水産省、建設省について、課長(部分的に課長補佐)異常のキャリアパス、データ入力を行った。通産省については、1973年以前のデータ入力をすでに研究費交付期間以前に終えていたが、本年度中に、1996年まで、すべて入力することができた。しかしながら農水省、建設省についてはいずれも1945ねんから1978年までの入力となり、計画通りには進まなかった。まとめられたデータが利用できず、官報からの各年入力となったため、データ入力作業は予想以上に手間取った。したがって研究計画では、省庁間のキャリアパスパターン比較を予定していたが、本年度は見送らざるをえなっかた。ただ通産省の入力作業を終えたことで、本研究のもう一つの課題である時間系列のパターン変化分析に関して、基礎データを確保することができたことは大きな成果であった。 データ入力に手間取り、本年度には、体系的な分析まで至っていないが、通産省については、「外局」としての資源エネルギー庁設置前後において、キャリアパスパターンの変化が観測できるように思われる。外局という組織の独立性は、ポストに安定性を付与し、その潜在的ステイタスを向上させたものと思われる。また通産省では監督業界利益との癒着をさけるために、キャリア官僚の移動が組織規範とされているが、資源エネルギー庁では、ある程度の固定化が見られたのではなかろうか。こうした外局の役割の認知は、もう一つの外局である中小企業庁についても、組織と政策の結びつきを想像させる。外局という独立した組織的地位を与えられた中小企業庁の存在が、通産省全体の政策選択を戦後長い間拘束してきたのではないかと考えられるのである。次年度は、当初の研究計画を若干修正し、省庁数を限定して、データ入力作業を継続し、体系的分析に向かう予定である。
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