1997 Fiscal Year Annual Research Report
地域における労働者の技能の蓄積と中小企業の経営戦略
Project/Area Number |
09730083
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
須永 桐代 (中囿 桐代) 釧路公立大学, 経済学部, 講師 (80274950)
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Keywords | 中小企業 / 地域労働市場 / 技能形成 / 経営戦略 |
Research Abstract |
<平成9年度の研究成果>本研究の目的は、地域労働市場において労働者の技能蓄積が如何にして行われており、それが中小企業の経営戦略をどのように支えているかを明らかにすることである。本年度は関連する分野での先行研究の検討を行った。 中小企業研究 これまでの研究においては労働者の技能形成過程の分析は行われていないに等しい。それは、大企業と中小企業との収奪・被収奪関係を中心に研究が進められていたり、いわゆるベンチャー・ビジネスに注目した研究では、経営主の技能に分析が集中しているためである。 地域労働市場研究 労働市場研究では、地域労働市場研究は全国的労働市場の下位に位置づけられており、そこに属する労働者は単純・半熟練労働者であり、職場に定着しないという、ミゼラブルな観念が行き渡っている。が、一方では家族とともに暮らすために地方にUターンをする若年労働者を分析している研究もある。地域労働市場に属する労働者を単純・半熟練労働者である与件を捨てて、その移動の要因と労働者本人の技能形成、地域全体での技能の蓄積を考察する必要がある。 家族研究 成熟した消費社会の影響を受け、家族の価値観は多様化し崩壊しつつある。その再生の道筋は暗中模索の状態である。また、女性差別を問題とするフェミニズム論においては封建制の残る家父長制家族は積極的に崩壊させようとする論調もある。家族は労働者を地域に根付かせるモメントにはなっていないように見受けられる。 今後の研究計画 このような成果を受けて来年度は実証的な調査研究を行う。事例としては地域労働市場に最も強く包摂されていると考えられる既婚女性パート労働者を取り上げ、その技能の形成過程と雇用している企業の経営戦略について分析する予定である。また、労働者個人においては家庭と仕事を如何にバランシングしているのか、分析する。
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