1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740299
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
神田 晶申 理化学研究所, ナノ電子材料研究チーム, 基礎科学特別研究員 (30281637)
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Keywords | 微小トンネル接合 / クローン・ブロッケイド / 単一電子帯電効果 / アンドレーエフ反射 |
Research Abstract |
微細加工デバイスの電気的特性の精密測定には、ノイズ削減が重要となる。そのために、測定回路の改良するとともに、RCフィルター、銅パウダーフィルターを作製し希釈冷凍機内の測定リ-ド線に挿入した。その結果、電流ノイズを10fA程度にまで抑え、超伝導体電極のみからなる単一電子トンネリングトランジスタ(SET)において、超伝導電流のパリティ効果やジョセフソン-準粒子トンネルによる電流ピークを観測することができた。 超伝導体-常伝導体-超伝導体(SNS)の電極構造を持つSETにおいて、電圧が超伝導エネルギーギャップ△、2△の付近に急峻な電流増加を観測した。これは、それぞれアンドレーエフ反射-準粒子電流サイクル、2重準粒子トンネル電流に対応する。また、さらに、これらの電圧近傍でアンドレーエフ反射、準粒子電流のクーロンブロッケイドに由来するゲート電圧による電流変調を観測した。しかしながら、photon-assisted tunnelingによるとみられる電流も観測されており、精密な測定にはさらなるノイズ削減が必要であることを示唆している。さらに、中間電極(常伝導体)にリング構造をもつ試料についても測定を行なったが、リング内での電子の干渉に由来する信号はいまのところ得られていない。 NSN-SETにおいて、高バイアス電流印加時に、ゼロ磁場付近(数mT以下)で大きな負の磁気抵抗を観測した。これは、バイアス電流が低いときには全く観測されない。局在効果等との関連についても含めて議論を進めるとともに、この振る舞いのトンネル抵抗依存性等についての測定の準備を行なっている。
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