1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740550
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
遠藤 昌敏 山形大学, 工学部, 助手 (30203673)
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Keywords | 反応速度分析 / 自己触媒反応 / 化学増幅 / 高感度計測法 / コバルト錯体 / コバルトイオン / 簡易目視定量 |
Research Abstract |
反応速度分析において指示反応系に化学増幅を利用する新規な計測法を開発した。コバルト(III)-ピリジルアゾフェノール錯体(Co-5Br-PAPS)の自己触媒的な酸化分解特性に基づく、コバルト(II)の高感度定量法について詳細に検討した。置換不活性なCo(III)-5-Br-PAPSがペルオキソ-硫酸塩によって酸化分解される際の吸光度-時間プロファイルは、自己触媒反応に特有のS字曲線を示し、変曲点までの経過時間は添加するコバルト(II)イオン濃度に依存することを明らかにした。この際、検出感度はコバルト(II)イオンの初濃度に左右されず、一定となる性質を示した。最適化した測定条件において、10^<-9>Mレベルのコバルト(II)イオンの定量を実現できた。また、過剰の配位子濃度を変化させることで変曲点までの経過時間を制御できることを見い出し、コバルト(II)イオンの定量範囲を変更できた。また、有機酸、臭化物イオンなど分解反応速度に対して影響する物質も定量できることを明らかにした。 自己触媒反応は誘導期間ののちに急激に反応が進行するため、色の変化を伴う反応系では反応の進行を目視で追跡可能である。自己触媒反応を利用する超微量分析法の簡易定量について検討した。酸化分解速度を増大することによって退色に要する時間が数秒間となり、目視での終点判定が行えた。反応スケールの検討を行い、通常のフラスコ試料量(20mL)からスッポトサイズ(10μL)まで幅広い容量で定量が可能であることを明らかにした。コバルトイオンを測定対象とした場合、10^<-9>Mつまり数+pptレベル(絶対量として10^<-14>mol)の定量が肉眼とストップウォチで可能であった。 測定系の自動化、汎用化についても検討を行っているところである。
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Research Products
(1 results)