1997 Fiscal Year Annual Research Report
マウスにおけるミトコンドリアDNAの母性遺伝機構に関する分子遺伝学的解析
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09740570
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
金田 秀貴 (財)東京都臨床医学総合研究所, 実験動物研究部門, 研究員 (00214479)
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Keywords | ミトコンドリア / ミトコンドリアDNA / マウス / 母性遺伝 |
Research Abstract |
「ミトコンドリアDNA(mtDNA)の母性遺伝」の真偽追求と機構解明を目的とし,マウス初期胚・個体を材料に用いて解析を行ってきた.これまでの知見から,卵細胞質内には精子ミトコンドリアに対する排除機構が存在し,その機構は精子mtDNAを認識するものではないことを明らかにした.また,mtDNAの母性遺伝は,初期発生の前核期から2細胞期の間に精子ミトコンドリアが排除されることが原因で起こり,同種間交雑では厳密に母性遺伝されることを検証した.さらに,受精後の精子ミトコンドリアの動態を電子顕微鏡で観察したところ,ミトコンドリアの形態異常と破壊が確認できた.このミトコンドリアの形態的変化は,他の動物種による観察と類似している,ミトコンドリアの崩壊を示唆している.また,精子mtDNAが消失した時期と一致していることから,精子ミトコンドリアに対する排除機構の存在を裏付けるものとなった.また,排除機構が前核期に特異的に働くのか,また受精により侵入した単一精子に対してのみ働くのかを追究すべく実験を行った.これらの排除能力を明らかにするために,同種間交雑胚内(前核期・2細胞期胚)へ異種精子の尾部を顕微注入させ,その外来精子mtDNAが発生後に排除されるか否かをPCR法で確認した.その結果,前核期の細胞質内へ尾部を注入し,培養後の2細胞期で外来精子mtDNAが検出できたものは10.0%であった.また,2細胞期内へ注入し,培養後の4細胞期および8細胞期で外来精子mtDNAが検出できたものは,それぞれ17.5%,17.9%であった.以上の結果は,精子ミトコンドリアに対する排除機構が前核期特異的な機構ではないこと,また受精により侵入した精子にのみ働くものではないことを示している.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 金田秀貴: "ミトコンドリアDNAの母性遺伝-精子由来のミトコンドリアDNAはどうなるのか-" 生物科学. 49. 166-172 (1997)
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[Publications] Yasumitsu Nagao: "Heterogeneous mitochondrial DNA introduced by nuclear transfer influences the developmental ability of mouse embryos in vitro." Theriogenology. 47. 233 (1997)
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[Publications] 金田秀貴: "ミトコンドリアDNAにみられる母性遺伝の不思議" 遺伝. 52. 27-31 (1998)
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[Publications] Hiroshi Shitara: "Segregation of the leaked paternal mtDNA followed by prevention of subsequent paternal leakage." Genetics. 148. 851-857 (1998)
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[Publications] Yasumitsu Nagao: "Decreased physical performance of congenic mice with mismatch between the nuclear and the mitochondrial genome." Genes & Genetic Systems. in press (1998)