1997 Fiscal Year Annual Research Report
リモートセンシングによる熱帯林の更新様式に関する研究
Project/Area Number |
09740583
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
足立 直樹 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 研究員 (70291044)
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Keywords | リモートセンシング / 熱帯林 / 森林更新 / 東南アジア / マレーシア / 林冠ギャップ / DEM |
Research Abstract |
熱帯林の保全や復元のためには、熱帯林の更新様式を定量的に解析することが必要である。そこで本研究では、更新の核となる林冠ギャップ(倒木などによって生じた空隙)の動態を定量的に明らかにすることを目的としている。測定には航空機および人工衛星から撮影した画像データ、特にそれらの画像から得た3次元モデル(DEM)を利用する必要がある。そのために本年度はまず基本データとなる空中写真および衛星画像を入手した。しかし、衛星画像については、研究対象とする東南アジアの熱帯林は雲に覆われていることが多く、高解像度(SPOTパンクロモード、地上解像度20m)のデータは一時期しか入手できなかった。また、ステレオペアとなるような画像は現在のところ存在しないことがわかった。来年度にはより高解像の商用衛星の画像が供用される予定であるので、これを入手して解析する予定である。空中写真については1995年と1997年の二時期にマレーシアの低地熱帯林で撮影した画像を入手し、この画像に含まれる50haの保護林について、2.5m間隔で写真測量を行ない、林冠高のDEMを作成した。そしてまずそれぞれの時期の林冠高分布から、ギャップとそれ以外の林冠部分に森林を分類した。さらに二時期のデータを重ね合わせ、ギャップの生成と修復速度を算出した。その結果、林冠高分布もギャップの面積も二年間では大きな変化は見られなかった。これはギャップの生成速度(4.7%/年)、と修復速度(5.0%/年)がほぼ釣り合っていたためである。さらにこの期間の各地点の林冠高の変化を推移確率行列として、この行列モデルから安定状態での林冠高の分布を推定したところ、現在の分布と大きく異ならなかった。したがって、この2年間という短い期間でみる限りは、この森林は比較的安定していると考えられた。
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