1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750244
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
國峰 寛司 明石工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (50186425)
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Keywords | 三成分系 / 凝固 / 固・液共存域 |
Research Abstract |
三成分系融液の凝固の過程と機構の詳細を究明するため,塩化アンモニウムと塩化ナトリウムを溶質とする水溶液を試料としたシミュレーション凝固実験と凝固の素過程を考慮に入れた理論解析を行い,以下の知見を得た. 1. 水の割合が一定の場合,溶質の量比一定直線が三元共晶点を通らない初期組成においては,氷とそれぞれの塩からなる二元共晶が氷結晶に沿う形で成長する.これに対して,溶質の量比一定直線が三元共晶点を通る初期組成においては,ほぼ平らな界面をもつ三元共晶が出現し,氷晶のマッシュ域から直接に完全固相が形成される. 2. 氷結晶とそれに続いて出現する二元共晶組織の形態は,冷却速度の増加とともに微細なものとなっていく. 3. 氷晶のマッシュに対しては,水の割合が結晶の数密度とそれによって空間が占有される固相率に,冷却速度が二次アームを含めた結晶の数密度に影響を及ぼし,さまざまな組織が形成される.二元共晶マッシュにおいては,溶質の量比で支配される組成の偏析が顕著であり,組織形態は先行する氷晶で拘束される. 4. 過冷却が存在しない平衡凝固の過程を対象として,水和イオンがイオン結晶となる際の溶解エンタルピーを考慮に入れた多成分系の凝固モデルを提示し,理論解析を行った. 5. 得られた理論解析の結果と実験との比較により,ここで提示されたモデルの妥当性が概ね確認できたが,水和イオンと水分子や水和イオン間の相互作用,ならびに拡散などのミクロ挙動を組み込んだ凝固モデルの確立が求められる.
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