1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750350
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池田 浩也 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00262882)
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Keywords | フラッシュメモリ / シリコン酸窒化過程 / 高分解能電子エネルギー損失分光法 / 走査トンネル顕微鏡・分光法 / 表面モホロジー / 表面電子状態 / 窒素ラジカル / バンド構造 |
Research Abstract |
ULSIデバイスの更なる微細化の要求に対して、フラッシュメモリに代表されるMOSデバイスのデバイス特性の安定性及び高信頼性を確保するためには、原子オーダーで制御された絶縁膜/シリコン界面を実現する必要がある。現在絶縁膜として注目されているシリコン酸窒化膜の形成反応を精度良く制御するためには、シリコン酸窒化過程を原子オーダーで理解しなければならない。本研究では、高分解能電子エネルギー損失分光法(HREELS)及び操作トンネル顕微鏡・分光法(STM/STS)を用いることによりシリコン表面の原子オーダーでの酸化・窒化過程及び酸窒化膜の局所構造を解明することを目的としている。平成9年度は、STM/STSを主な分析手段として、窒化及び酸窒化に伴うシリコン表面モホロジー及び表面電子状態の変化について調べた。得られた結果を以下に示す。 Si(100)表面を窒素ラジカルを用いて窒化すると、350℃の低温においても窒化速度0.03nm/sが得られた。この値は通常の熱窒化やプラズマ窒化の成長速度と比較して一桁近く大きく、低温窒化を行う上でラジカル窒化が有効であることを示した。また、窒化温度350℃では、窒化膜厚の増加に伴い表面ラフネスは増加するが、およそ4MLになると表面ラフネスが膜厚にほとんど依存せず一定になることを明らかにした。それに対応して、4ML以上になると表面電子状態に窒化膜のバンド構造及び界面準位と思われる電子状態が形成されることも見出した。これらの結果は、Si_3N_4が一層覆う程度形成されると窒化膜が絶縁膜として機能し始めることを示唆している。さらに、350℃の窒化ではシリコン表面に一様に窒化が進行するのに対して、800℃の窒化では窒化膜が島状に形成された。 以上の結果から、シリコンの原子層窒化には窒素ラジカルを用いた低温窒化を行う必要があると考えられる。平成10年度は、これらの結果を基に、HREELSを用いてシリコンの初期窒化過程を解明する予定である。
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