1997 Fiscal Year Annual Research Report
脳波動特性を用いた新しい福祉支援システムに関する基礎的研究
Project/Area Number |
09750508
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西藤 聖二 山口大学, 工学部, 講師 (60253168)
|
Keywords | 位相 / 非線形ゆらぎ / 脳波モデル / 脳波リズム / アルファ波 / 空間動特性 / ファンデアポール振動子 / 結合非線形振動子系 |
Research Abstract |
本研究では、人間が動作要求に基づいて意識を集中する際の脳波の空間動特性の変化を読みとり、コンピュータを始めとする種々の機械の遠隔操作を可能にする新しい福祉支援システムを開発するための基礎的知見を得ることを目的とする。平成9年度は覚醒時の代表的な脳波であるアルファ波の非線形な揺らぎに注目し、アルファ波の位相・振幅の空間動態の分析を複素復調法などの手法により行った。また、非線形振動子を用いた脳波モデルを提案し、シミュレーションと実験結果を比較対照させてモデルの妥当性を検証し、以下の結果を得た。 1 アルファ波は間欠的におこる位相バーストによってリズムのコヒーレンシーが切断される間欠カオス的な振動であるが、一次元写像系の間欠カオスとは異なり、位相バースト量は90degを超える場合が多い。また位相バースト量は閃光刺激を照射した場合、刺激周波数に依存する傾向がみられた。 2 結合ファンデアポール振動子システムによるシミュレーション結果はアルファ波にみられるような時空揺らぎを示さなかった。これによりアルファ波のモデル化を行うためには、個々の振動子の出力を直接他の振動子には伝えず、この出力に非線形効果を与えることが必要であると考えられた。 3 上記2。の考えより、ある種の非線形振動子を介してファンデアポール振動子の出力が伝搬されるような振動子系についてシミュレーションを行ったところ、アルファ波の特徴である空間位相ギャップが生成する結果を得た。但し、シミュレーション結果からはアルファ波のような位相ギャップの空間的な移動・消滅・再生、およびそれによる時空揺らぎはみられず、モデルの結合様式などについてさらに検討することが必要である。
|