1997 Fiscal Year Annual Research Report
動的な環境を認識するための視覚・近接覚統合センサの研究
Project/Area Number |
09750513
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山口 晃生 熊本大学, 工学部, 講師 (50230363)
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Keywords | 環境認識 / 視覚計測 / 近接覚センサ / 超音波センサ / センサフュージョン / 知能化センサ / ロボットセンサ / 空間知覚センサ |
Research Abstract |
本研究は視覚と近接覚を統合した空間知覚センサと呼ぶべき新しい統合センサシステムを提案し、単独の感覚だけでは実現困難な機能がセンサの統合化により実現できることの実証を目標としている。視覚と近接覚とが位置に関して異なる特性を示すことを利用して、一方の感覚だけでは得られない3次元情報の計測を行うことを目指す。 平成9年度においては、視覚・近接覚統合センサを実現するために超音波センサシステム設計および試作研究を行った。まず、超音波アレイセンサの構成法について検討した。設計に基づいたシミュレーションからアレイ送波子の音場特性を調べ、素子数が9個以上の場合にアジマス方向に十分狭い指向性を持つ超音波ビームが放出されることを確認した。 この結果に基づいてアレイ送波子を試作し、実際の音場特性がシミュレーションでの予想と一致することを実験により確認した。このアレイ送波子を超音波受波子と組み合わせた対象位置同定システムを試作し、一般の位置にある対象物を安定に定位でき、同時にある程度の表面形状推定も可能なことを実験により確認した。従来の近接覚センサでは表面形状を同時に測定することは考慮されていなかったが、本システムは空間分解能が高いため同時測定が可能となった。 さらに、このシステムでは超音波ビームを任意の注目範囲を短時間に走査することが可能なため、対象の位置同定から追従までの動作を高速に切替えることができた。また、送波子が複数であるため従来と比較して強力な超音波ビームが得られ、計測可能な対象物の形状や反射率の範囲が広くなるという効果も得られた。これらは視覚が不得手とする奥行き位置計測を超音波により行う場合に有利な結果となっている。 平成10年度は視覚から得られる位置および速度情報と組合わせることで3次元空間での総合的な位置同定を行うシステムを構成する予定である。
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