1997 Fiscal Year Annual Research Report
発がんプロモーター活性指標を導入した上水消毒処理水の安全評価
Project/Area Number |
09750635
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 禎彦 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10184657)
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Keywords | 染色体異常試験 / 形質転換試験 / 塩素消毒 / プロモーター / クロロホルム / トリハロメタン / 画像処理 / 変異原性 |
Research Abstract |
水道水の消毒に用いられる塩素は、トリハロメタンなどの有機塩素化合物を生成することから、その再考が求められて既に久しい。塩素処理水の有害性を測定する有力な手段に変異原性試験があり、研究代表者も独自に、チャイニーズハムスター肺細胞を用いる染色体異常試験に画像解析を導入した方法を開発し、実験的検討を行ってきた。染色体異常試験について考えてみると、これは変異原性試験のひとつであり、発がん過程においては最初のイニシエーション活性を検出するのである。ところで、発がんに至るには、このイニシエーション段階の他にプロモーションの段階が必要と考えられている。 本研究は、発がんプロモーター活性の指標を導入し、消毒処理水の有害性を測定・評価することを目的とするものである。 マウス繊維芽細胞BALB/3T3細胞は、プロモーターの作用により形質転換をおこすことが知られている。まずこの細胞の継代培養を可能にしたのち、細胞の形態変化を画像解析によって客観的に検出、定量化する方法を開発した。 ついで、市販フミン酸を自然水中有機物質のモデルとしてこれを塩素処理し、プロモーター活性が生成するかどうかを調べた。これと並行して、染色体異常試験を行うとともにトリハロメタンを中心とする副生成物を測定し、プロモーター活性との相互関係について検討を行った。この結果、塩素処理水のイニシエーション活性にはクロロホルムは寄与していないが、プロモーション活性には大きく寄与していることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 松下 拓: "染色体異常試験による除草剤CNPの好気性微生物分解の安全評価実験" 環境工学研究論文集. 34. 29-34 (1997)
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[Publications] Iroh,S.: "Contributions of Disirfetion By-products on Activity Inducing Chromosomal Aberrations of Orinking Water" Water Research. Vol.30 No.6. 1403-1410 (1996)
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[Publications] Sumitomo,H: "Evaluating Mutagenic Activity of Drinking Water Using Chromosomal Aberration Test" Third International Workshop on Environment between Universities in Quebec and Kyoto University. 35-36 (1997)