1998 Fiscal Year Annual Research Report
1995年兵庫県南部地震における建物被害の再現 -甚大な被害と1981年新耐震設計法施行前後の建物被害の違いの成因を探る-
Project/Area Number |
09750646
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
境 有紀 東京大学, 地震研究所, 助手 (10235129)
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Keywords | 1995年兵庫県南部地震 / 新耐震設計法 / 弾塑性地震応答解析 / 応答塑性率 / 靱性能 / 耐震診断 / ベースシア係数 |
Research Abstract |
1995年兵庫県南部地震において,建物の被害が甚大になった原因,および1981年新耐震設計法施行以前と以後の建物の被害率が極端に違っていた原因を究明することを目的とした解析的研究を行った.1981年新耐震設計法施行以前と以後の建物強度の統計的定量的データを把握し,1995年兵庫県南部地震による地震動の強さとこれらの建物強度の相対的定量的関係について検討した. 建物データは,鉄筋コンクリート造を対象とし,耐震診断の方法に基づいて,強度(ベースシア係数)と靭性能を求めた.そして予め,周期,ベースシア係数をパラメタとした一自由度系の弾塑性地震応答解析を行って,応答塑性率スペクトルを求めておいて,建物データの周期,ベースシア係数,靭性能を当てはめ,応答塑性率を靭性能で規準化した量で建物の被害度を判定した.地震応答解析には,非常に大きな被害がもたらされてた地域,いわゆる震災の帯に最も近い場所で得られた大阪ガス葺合供給所,JR鷹取駅の2記録を用いた. その結果,建物の塑性化による周期の伸びを考慮すれば,1秒程度に卓越周期をもつ1995年兵庫県南部地震の記録は,最も数の多い中低層の建物に大きな被害をもたらすことがわかり,建物の被害を大きくしたことがわかった.また,1981年新耐震設計法施行以前と以後の建物の強度に有意な差が見られたこと,応答塑性率スペクトルは,強度の差以上に大きな差となることから,1981年新耐震設計法施行以前と以後の建物の極端な被害率の差がほぼ再現された.
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